山形県の吉村美栄子知事は9月18日、「山形新幹線米沢トンネル(仮称)整備スキーム検討会議」を設置したと発表した。山形県やJR東日本など関係者が参加し、事業主体や事業費の負担割合など具体的な整備方法を検討する。

検討会議は東京大学・政策研究大学院大学名誉教授の森地茂氏が座長に就任。芝浦工業大学工学部土木工学課程の岩倉成志教授や国土交通省大臣官房の足立基成審議官、JR東日本の伊藤敦子副社長、山形県の折原英人副知事が委員として参加する。
第1回会合は10月に開催される予定。整備主体や費用負担、必要な予算・税制・制度などの整備スキームについて、どのような方法が考えられるか検討する。吉村知事によると、本年度2025年度中に一定の方向性を出すという。
米沢トンネルは奥羽本線のミニ新幹線区間(山形新幹線)のうち、福島・山形県境の山岳地帯に全長約23kmの長大トンネルを整備する構想。現在の線路より距離を短縮して所要時間を10分ほど短縮するほか、運休や遅延が発生しやすい冬季の安定輸送も目指す。

山形県とJR東日本が共同で2024年度まで地質調査を実施し、想定しているルートから大幅な計画変更の必要性はないことを確認した。事業費は約2300億円、工期は着工から約19年と試算され、事業化に向けては整備スキームについて関係者間での調整や合意が必要な段階に入っている。
山形県によると、政府は今年2025年6月に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針2025(骨太の方針2025)」で「幹線鉄道の高機能化に関する調査や方向性も含めた検討など、更なる取組を進める」との方針を示しており、こうした状況を受けて検討会議するという。
《関連記事》
・山形新幹線の米沢トンネル「800億円増」工期も延長 JR東日本が再算出
・新潟県の鉄道高速化「信越・トキ鉄ミニ新幹線化」需要予測で優位に 年間60万人以上増
・山形新幹線・米沢トンネル:庭坂~米沢(未来鉄道データベース)
