山形県の吉村美栄子知事は2月27日、同県とJR東日本が構想している山形新幹線の米沢トンネル(仮称)について、事業費が従来の想定より800億円増加する見込みになったことを明らかにした。工期も従来の想定より4年延びる。

米沢トンネルは山形新幹線の列車が走る奥羽本線の宮城・山形県境部の庭坂~関根に全長約23kmのトンネルを含む短絡線を整備する構想。200km/h以上の高速走行が可能な構造で建設し、10分強の所要時間短縮に加え冬季の運行安定化などを図る。2者は2022年10月に整備計画の推進に関する覚書を締結し、同年12月から共同で地質調査を進めてきた。
吉村知事によると、調査はおおむね終了。現在想定しているルートから大幅な計画変更の必要性はないことが確認された。この調査に基づきJR東日本が事業費と工期の再算出を実施したところ、事業費は2017年度に算出した約1500億円から800億円増の約2300億円に。工期も2017年度の算出では着工から約15年とされていたが、4年延びて約19年になった。物価高騰や働き方改革の影響によるものという。

吉村知事は「トンネル整備が山形県にもたらす効果は非常に大きいことが見込まれる。一日も早い事業化、整備の実現が必要なことは変わらない」と強調。事業費増加や工期延長にかかわらず事業を推進する考えを示した。
また、「事業費の増加などを踏まえれば、政府による支援の獲得が一層重要になる。事業化に向けて費用負担を含む事業スキームなどの検討を政府・JR東日本と3者で行っていく」と述べ、今後は費用負担の割合などの協議を本格化させる考えも示した。
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