JR九州の香椎線「自動運転」2024年3月から 運転士資格ない係員が添乗



JR九州と日本信号は11月30日、JR香椎線(福岡県)に自動運転を導入すると発表した。来年2024年3月から自動運転で列車を運行する。

添乗員付き自動運転が導入される香椎線。【画像:ニッキーミナージュ/写真AC】

自動運転が導入されるのは、香椎線・西戸崎~宇美25.4kmの全線。車両は2019年から同線に導入されているBEC819系蓄電地電車「DNCHA(デンチャ)」を使用する。自動運転レベルは「添乗員付き自動運転」(GoA2.5)で、JR九州は今年2023年12月からGoA2.5に対応した係員の養成を始める。

実証運転時の様子。【画像:JR九州】

GoA2.5は上位レベルのGoA3と同様、運転士の資格を持たない係員が添乗する方式の自動運転。GoA3は緊急停止操作なども含め自動運転を行い、踏切がある路線には導入できない。一方、GoA2.5は列車の先頭部に係員が乗り込み、非常時の緊急停止操作や避難誘導は係員が行う。このため香椎線のように踏切がある路線にも導入できる。

日本信号がJR九州の自動列車停止装置(ATS-DK)をベースに、GoA2.5に対応した自動列車運転装置(FS-ATO)を開発。2020年12月から香椎線・西戸崎~香椎で運転士乗務による実証運転が始まった。昨年2022年3月には実証運転の区間を香椎線の全線に拡大。今年2023年8月、JR九州設置の第三者委員会が導入可能と判断した。

日本信号によると、GoA2.5の自動運転の導入は初めての事例。FS-ATOは既存のATSをベースにしていることから、初期コストを抑えられるなどのメリットがある。操縦業務の自動化や機械化で安全性向上や養成コスト削減が図れ、労働人口減少などの社会課題に対する解決が期待できるという。

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