四国の自治体や経済団体などで構成される四国新幹線整備促進期成会は6月1日、「新幹線が都市を変える~新幹線と四国のまちづくり調査~」と題した報告書を公表した。四国4県の県庁所在地を中心とした地域に設ける新幹線駅の候補地として、計16カ所を提案。議論の活性化を狙う。
報告書の作成は、四国の地方銀行などで構成される四国アライアンス地域経済研究会に委託。新幹線が整備された都市の事例などを参考に取りまとめた。新幹線駅の各候補地の概要は次の通り。
四国新幹線・高松駅(香川県):4カ所
●高松駅付近:JR予讃線・高徳線の高松駅南側にある高速バスターミナル付近に整備。ことでんの高松築港駅やフェリー乗り場などが近くにあり、交通結節点になっている。
●栗林駅付近;JR高徳線の栗林駅に併設。近くで高徳線と交差することでん琴平線にも駅を新設して統合駅とすることを想定し、交通結節点として整備する。
●伏石駅付近:ことでん琴平線伏石駅をまたぐ高松自動車道の上方か平行して整備。高速道路と一体化した産業振興・企業誘致を推進する。
●高松空港地下:高松空港の地下に整備し、新幹線と飛行機を融合した中四国地域全体のハブ機能を持たせる。
四国新幹線・松山駅(愛媛県):1カ所
●松山駅付近:JR予讃線の松山駅に併設。同駅付近では予讃線を高架化する連続立体交差事業が進められており、高架化後の地上線路跡地(JR敷地)を新幹線ホームの候補地とした。伊予鉄道が運行する路面電車との交通結節点で、予讃線の高架化にあわせ同線の乗り場近くに停留場を移設する予定。将来的には路面電車を西へ延伸することも検討されている。
四国横断新幹線・高知駅(高知県):2カ所
●高知駅付近:JR土讃線の高知駅に併設。高知駅の東側から乗り入れて駅の南東側に新幹線ホームを設ける案と北側から乗り入れる案が想定される。高知駅の南口に路面電車が乗り入れているほか、北口に路線バス・高速バスのターミナルが整備されており交通結節点の機能を持つ。
●後免駅付近:土讃線後免駅の北側に併設。同駅は土佐くろしお鉄道ごめん・なはり線が乗り入れており、高知空港も車で15分のところにある。
四国新幹線・徳島駅(徳島県):9カ所
●鳴門エリア(7カ所):国道11号とJR鳴門線の交差地点を中心とした地域に整備。紀淡海峡ルートで徳島県内に乗り入れて高松市方面に向かう四国新幹線の「直進性の確保」を考慮した。JR鳴門線の立道駅付近、教会前駅付近、金比羅前駅付近、撫養駅付近、鳴門駅付近、国道11号の道の駅くるくるなるとの南側付近、神戸淡路鳴門自動車道の鳴門IC付近を候補地とした。
●徳島空港付近:大阪エリアの空港との有機的な連携を図る。
●徳島駅併設:JR高徳線の徳島駅に併設。同駅はJR在来線や路線バスのターミナルで、新幹線の乗り入れで交通結節機能を拡充する。
四国に乗り入れる新幹線は、大阪市~徳島市付近~高松市付近~松山市付近~大分市の四国新幹線と、岡山市~高知市を結ぶ四国横断新幹線の2路線が計画されている。いずれも1973年に基本計画が決定したが、巨額の事業費が障壁になっており、整備計画(整備新幹線)への格上げなど具体化に向けた進展はない。
整備新幹線の建設が進んだことから、近年は1973年に基本計画が決定した各新幹線の誘致運動が活発になっている。四国新幹線の場合、大阪~淡路島や松山~大分を結ぶ海底トンネル・橋梁の整備でとくに膨大な費用がかかることから、四国新幹線整備促進期成会は、四国新幹線の一部(徳島~松山)と四国横断新幹線の全線(岡山~高知)を当面の整備区間とする方向で誘致運動を行っている。
四国アライアンス地域経済研究会は報告書で「ルートや駅候補地などには賛否議論があることも重々承知している」としつつ「一日も早い四国の新幹線整備に向けて、議論が多いに盛り上がることを期待している」とし、新幹線駅候補地の発表を議論の活性化につなげたい考えだ。
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