淡路島と四国結ぶ大鳴門橋「幻の新幹線スペース」いまは遊歩道、将来どうなる?

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本州と四国を結ぶ橋(本四架橋)は3ルートある。兵庫県と徳島県を淡路島経由で結ぶ「神戸・鳴門ルート」(明石海峡大橋・大鳴門橋)、岡山県と香川県を結ぶ「児島・坂出ルート」(瀬戸大橋)、広島県と愛媛県を結ぶ「尾道・今治ルート」(しまなみ海道)。このうち児島・坂出ルートは道路・鉄道の併用で、それ以外は道路のみだ。

眼下に鳴門海峡が広がる大鳴門橋「渦の道」から見た鉄道用のスペース。【撮影:草町義和】

しかし、道路だけのはずの「神戸・鳴門ルート」のうち、「鳴門の渦潮」で知られる鳴門海峡をまたいで淡路島と徳島(鳴門)を結ぶ「大鳴門橋」は、道路と鉄道の両方を通せる構造で建設された。2階建て構造になっており、上部は道路、その下部のトラス桁内に鉄道用のスペースが確保されている。

このスペース、在来線より大型の車両が走る新幹線と同じ広さが確保されている。大阪から四国の徳島、高松、松山を経由して九州の大分に至る「四国新幹線」を通すことが、想定されているためだ。

このスペースは関係者以外、長らく歩くことも見ることもできなかったが、現在は部分的だが歩いたり見たりすることができる。

大鳴門橋の徳島側(鳴門)は2000年、鉄道用スペースやその脇に展望台兼遊歩道「渦の道」が整備された。途中までしか整備されていないため淡路島に渡ることはできないが、鉄道用のスペースを見ることはできる。おかげで鳴門の渦潮も真上から見られるようになった。

ちなみに、渦の道の鳴門寄りにも、鉄道を通すためのトンネルが大鳴門橋の鉄道用スペースと連続するように建設されており、大きな穴がぽっかりと空いているのが見える。

「渦の道」の鳴門寄りに見えるトンネル。【撮影:草町義和】

大鳴門橋の淡路島寄り(門崎)でも、鉄道用のスペースを見ることができる。「道の駅うずしお」から少し歩いたところの大鳴門橋の下に、鳴門海峡を望める展望台が設けられており、ここから鳴門方面に延びる大鳴門橋のトラス桁内を見ることができる。桁内は四角いトンネルのように見えて天井も高く、複線の線路を敷くことができそうだ。

淡路島側からも大鳴門橋の鉄道用スペースを見ることができる。【撮影:草町義和】

■明石海峡は鉄道「通れない」構造に

本州と四国を橋やトンネルで結ぶ構想は明治期からあったが、具体化に向け調査が本格化したのは戦後になってから。1953年、国鉄の建設予定線を定めた鉄道敷設法が改正され、本州の須磨と四国の鳴門を淡路島経由で結ぶ「本四淡路線」が計画された。

鳴門海峡をまたいで淡路島(奥)と四国(手前)を結ぶ大鳴門橋。上部が道路、下部のトラス内が鉄道用のスペースだ。【撮影:草町義和】

本四淡路線は在来線として計画されたものだったが、1969年に新全国総合開発計画(新全総)が策定され、翌1970年に全国新幹線鉄道整備法(全幹法)が制定されると、四国経由で大阪と大分を結ぶ新幹線を整備しようとの機運が高まった。

そこで本四淡路線も新幹線を通せる構造で建設することに。1973年10月に認可された同線の工事実施計画では、明石海峡大橋と大鳴門橋を含む道路との併用部分(7.7km)について、新幹線と同じ規格の線路を複線で整備することが決められた。そして翌11月、全幹法に基づき四国新幹線の基本計画が決定した。

四国新幹線の基本計画は大まかな経由地を定めただけのものであり、法手続上は明石海峡大橋や大鳴門橋を通ることが決められたわけではない。とはいえ、両橋の鉄道部分が「新幹線と同じ規格の線路」で認可された以上、この時点で両橋が四国新幹線の予定ルートに組み込まれたことが事実上決まったといえるだろう。このあたりは青函トンネルを新幹線規格で建設して在来線として開業し、のちに北海道新幹線も同トンネルを通るようになった経緯と似ている。

本四淡路線(四国新幹線)の当初の想定ルート。本州~淡路島は明石海峡大橋、淡路島~四国は大鳴門橋の鉄道用スペースを通る。【作成:草町義和・鉄道プレスネット編集部】

しかし、石油ショックや国鉄の経営悪化などの影響を受け、四国新幹線の建設は見通しが立たない状態に。本四架橋の工事も大幅に遅れることになる。神戸・鳴門ルートのうち大鳴門橋は1976年に着工して1985年に完成したものの、実際に開通したのは道路部のみ。鉄道用のスペースは使われずに放置されることになった。

明石海峡大橋に至っては「社会経済情勢の変化、旧日本国有鉄道の財政事情に端を発した民営分割化の動きなどを踏まえ」(『本州四国連絡橋公団三十年史』本州四国連絡橋公団、2000年10月)て道路単独橋に変更。鉄道を通せない構造で建設されてしまった。

■将来は自転車道として活用か

明石海峡大橋が道路単独橋になったため、本四淡路線(四国新幹線)の本州~淡路島間は海底トンネルで建設することが考えられるようになり、実際に検討や調査も行われた。しかし、2008年には調査費の執行が停止され、着工どころか調査完了のめども立たない状態に。法令上、四国新幹線はいまも有効な計画だが、調査すら行われていない現状は「幻の新幹線」と言っても過言ではないだろう。

2000年に開設された「渦の道」。写真では通路の左側に鉄道用スペースがある。【撮影:草町義和】

四国新幹線の建設のめどが立たないため、大鳴門橋の鉄道スペースをどうするか、これまでにいくつかの代替案が浮上してきた。観光列車の運転構想が浮上したこともあったが実現しておらず、鳴門寄りの途中まで歩ける渦の道が実現しただけにとどまっている。

ただ、2018年頃から鉄道用のスペースに自転車道を整備する構想が浮上。兵庫県や徳島県などが検討を進めている。

自転車道(赤)の設置をイメージした大鳴門橋の横断面図。鉄道用スペースを活用する。【画像:兵庫県】

この構想では、トラスの骨組みしかない鉄道用のスペースに、防護柵の付いたアスファルト舗装の自転車道を設置。2018年度に風洞実験を行って安全性を確認し、2019年度は自転車道の採算性などの調査が行われた。そう遠くない将来、淡路島から四国へ自転車で移動できる日が来るかもしれない。

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