只見線・会津川口~只見間「来年中」運転再開へ 「全線運転」11年ぶり



JR東日本は7月28日、水害で長期運休中の只見線・会津川口~只見間(福島県)について、来年2022年中の運転再開を目指すと発表した。

只見線の只見川第5橋りょうの被災状況(左)と現況(右)。【画像:JR東日本】

同社によると、流失した橋りょうのうち第7只見川橋りょうの橋脚・桁架設・軌道工事が完了。第5只見川橋りょうは橋脚・桁架設の施工が完了して現在は軌道工事を行っている。第6只見川橋りょうは橋脚の施工が完了し、桁架設を施工中だ。

復旧工事は2022年度上半期に完了する見込み。その後、訓練運転などを行い、2022年中の運転再開を目指す。

只見線の只見川第6橋りょうの被災状況(左)と現況(右)。【画像:JR東日本】
只見線の只見川第7橋りょうの被災状況(左)と現況(右)。【画像:JR東日本】

只見線は、会津若松~会津川口~只見~小出間(福島県・新潟県)の135.2kmを結ぶローカル線。2011年の豪雨で只見川の第5~第7橋りょうが流出するなどの甚大な被害が発生し、福島県内の会津川口~只見間23.1kmが長期運休中だ。

一時は鉄道を廃止してバスに転換することも考えられたが、福島県や沿線自治体の反対を受け、上下分離方式の導入を条件に復旧することに。再開後は線路などの施設を福島県が保有し、JR東日本は福島県から施設を借りて列車を運行する。

2018年6月に起工式が行われ、復旧工事に着手。当初は本年度2021年度中の復旧工事完了を目指していたが、地質が想定より悪かったこともあり、JR東日本は昨年2020年8月に工期を見直して来年度2022年上半期の復旧工事完了を目指す計画に変更した。2022年中に運転を再開すれば、11年ぶりに只見線の全線で列車が走るようになる。

JR東日本は今年2021年6月30日、上下分離方式への移行の手続きとして、会津川口~只見間の第1種鉄道事業(線路を保有して列車を運行する事業)の廃止届出と第2種鉄道事業(線路をほかの鉄道事業者から借りて列車を運行する事業)の許可申請を行った。同時に福島県も、第3種鉄道事業(線路を保有してほかの鉄道事業者に貸し付ける事業)の許可を申請している。

JR東日本が届け出た第1種鉄道事業の廃止届出書では、事実上の上下分離方式による再開日となる第1種鉄道事業の廃止予定日を「令和4年(2022年)12月31日までの只見線(只見~会津川口間)の第二種鉄道事業による運輸開始予定日」としている。今後廃止予定日の繰り上げ手続きが行われなければ、2022年6月30日~12月31日のあいだに再開するとみられる。

《関連記事》
只見線「廃止」JR東日本が国交相に届出 上下分離方式による再開に向け準備
只見線・会津川口~只見間の復旧工事完了は2022年度上半期の見込み 地質条件を考慮