熊本空港アクセス鉄道「事業許可申請」年内にも ルート公表など延期



熊本県は3月12日、事業化に向けた準備を進めている熊本空港アクセス鉄道について、今後のスケジュールなどを明らかにした。今年2025年内には鉄道事業許可を申請する方針。詳細なルートの公表などは数カ月延期する。

熊本空港アクセス鉄道が分岐する豊肥本線の肥後大津駅。【撮影:草町義和】

今後は事業化に向けた検討を引き続き行い、鉄道概略設計に加え需要予測や収支試算などの精度向上を図る。環境影響評価は環境調査のほか準備書の作成を行う。JR九州とは運行計画や費用負担などについて詳細な協議を実施。豊肥本線の輸送力強化に向けた協議や検討なども行う。

6月ごろにはルートの「絞り込み案」を公表。7月ごろに地元説明会を開き、概算事業費や需要予測、費用便益比(B/C)、収支採算性などは9月ごろに公表する。12月ごろには鉄道事業許可を申請する考えだ。

熊本県は従来、詳細なルートや概算事業費、需要予測などを本年度2024年度末に示す考えだったが延期する。同県は延期の理由として豊肥本線の沿線で急速な開発が進んでいることや物価の高騰を挙げており、従来の想定より事業費や需要が膨らむ可能性が高い。整備着手の目標時期は従来通り2027年度としている。

熊本空港アクセス鉄道は豊肥本線の肥後大津駅と熊本空港を結ぶ約6.8kmの計画。熊本県は2034年度の開業を目指している。

熊本空港アクセス鉄道の環境影響評価調査ルート。【画像:OpenRailwayMap/OpenStreetMap、加工:鉄道プレスネット】

熊本空港の旅客数は2023年度で333万5476人。このうち国際線は過去最多の23万3310人だった。国内・国際線の合計でもコロナ禍が本格化する前の2019年度(327万3381人)を超え、過去最多の2018年度(346万830人)に近づいている。

アクセス鉄道の乗り入れが計画されている熊本空港。【撮影:草町義和】

一方、アクセス鉄道に接続する豊肥本線は台湾の半導体メーカー「台湾積体電路製造」(TSMC)が沿線に進出するなどしてラッシュ時の混雑が激しくなっており、一部区間を複線化する構想も浮上している。

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