上越新幹線の最終列車「繰り上げ」へ 夜間工事時間を拡大、東北・北陸も検討



JR東日本は11月7日、上越新幹線の最終列車の時刻を来年2024年春に繰り上げると発表した。大型機械の導入に伴い、夜間工事の作業時間を拡大するため。

40年前の上越新幹線開業時に導入された200系は引退済み。線路施設も老朽化が進む。【撮影:草町義和】

大型機械を工事で使う場合、機械の移動などに時間がかかるため、作業時間の拡大が必要になる。JR東日本によると、初列車から終列車までの作業時間が短い上越新幹線で、来年2024年春から最終列車の時刻を20分程度繰り上げる。一部の接続する在来線は利便性を確保できるよう検討する。詳細な内容は今後決まり次第案内するという。

JR東日本が運営する東北新幹線と上越新幹線は1982年の開業から40年以上が過ぎており、開業時に導入された200系電車はすべて引退済み。線路施設の老朽化も進んでおり、同社はリニューアル工事を実施している。

JR東日本によると、現在の工事量は2013年に比べ5割ほど増加。今後も10年間で約400kmのレール交換と約800kmの架線交換を実施する計画で、工事量は大幅に増加する見込みだ。ほかに地震対策工事を行っており、橋梁やトンネルなど土木構造物の大規模改修も計画している。

その一方、生産年齢人口の減少に伴い鉄道工事に従事する作業員の確保が厳しい状況。JR東日本管内の軌道工事従事員は10年前に比べ2割ほど減っており、今後も従事員の減少が続く見込みだ。

工事数(左)と工事従業員(右)の推移。【画像:JR東日本】

このためJR東日本は少人数で多くの工事ができるようにするための技術開発を推進しており、大型機械を使う工法への転換に取り組んできた。大型機械の保有台数は2013年に比べ25%ほど増えており、今後も増やす方針という。

JR東日本の在来線では2021年3月に終電時刻の繰り上げを実施。同社によると、これにより施工効率の向上や労力軽減につながり、TC型省力化軌道工事では施工効率が1割ほど向上したという。

JR東日本は東北新幹線と北陸新幹線についても、今後の状況を見極めて作業時間の拡大を検討していくとしている。

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