JR九州は7月19日、国土交通大臣に旅客運賃・料金の上限変更認可を申請した。全体の改定率は上限ベースで15%。認可された場合、JR九州は来年2025年4月1日に値上げする。消費税率の引き上げに伴うものを除くと、値上げは1996年以来29年ぶり。
普通旅客運賃の改定率は14.6%。初乗り(~3km)は現行170円のところ30円値上げの200円になる。101~300kmの区間は賃率を現行17.75円のところ2円引き上げて19.75円とするが、301km以上の区間に適用する賃率は据え置く。博多駅からの場合、博多~古賀の17.6kmが現行380円のところ70円値上げの450円。博多~鳥栖の28.6kmでは現行570円のところ90円値上げの660円になる。
定期旅客運賃は25.8%。このうち通勤定期の改定率は30.3%の値上げで、通学は16%の改定になる。通勤定期は普通旅客運賃の改定に加えて割引率の見直しを行い、1カ月の割引率を現行51.7%から46.7%に引き下げ。3カ月では現行54.4%から49%、6カ月は現行60%から53.5%に引き下げる。通学定期の割引率は変更しない。
博多~鳥栖の場合、1カ月の定期旅客運賃は通勤が現行1万7090円のところ4680円値上げの2万1770円。通学(高校)は現行8530円から1340円値上げの9870円になる。
料金のうち上限認可の対象となる新幹線特急料金は12.4%の改定を申請した。ただし一部の料金は上限より安くする計画。西九州新幹線は「2022年9月の開業から間もないことから、ご利用の定着を図るため」として料金を据え置く。九州新幹線も一部の隣接駅間などで自由席を利用する場合に適用する特急料金(870円)を据え置く。
九州新幹線の指定席特急料金(通常期)の場合、博多~鹿児島中央は現行5030円のところ650円値上げの5680円に。博多~熊本では360円値上げして3420円になる。
在来線特急料金とグリーン料金、座席指定料金は改定しない。特別企画乗車券(割引切符)は認可後、改定分相当を引き上げることを基本に発売額を決める。
JR九州によると、利用者数は高速道路網の発達や全国平均を上回る九州地区の人口減少・高齢化に加え、新しい生活様式の定着に伴い減少。今後もコロナ禍前の水準に戻らないとみられる。その一方で電気料金や物価の高騰で経費が増加。老朽化した車両や設備の更新に対応する資金の安定的な確保が困難になっており、人材の安定確保のため待遇や職場環境の改善を図ることも急務になっているという。
こうしたことから同社は「事業継続に必要な対応を着実に実施するにあたり、不足する費用の一部についてお客さまにご負担をお願いする」として運賃・料金の改定を申請したとしている。
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