JR北海道「運賃改定」申請 初乗り200円→210円、札幌~小樽は50円値上げ



JR北海道は6月28日、鉄道事業旅客運賃の上限変更認可を国土交通大臣に申請した。認可された場合、来年2025年4月1日に運賃を値上げする。

JR北海道の普通列車用の新型車両「737系」。【画像:ヨッシー宙船/写真AC】

全体の改定率は7.6%。普通旅客運賃は平均で6.6%の改定になる。定期旅客運賃は普通旅客運賃の改定分を反映させたうえで割引率も見直し、平均では18.9%の改定になる。

千歳線・南千歳~新千歳空港の設定している加算運賃は変更しない。特急料金や座席指定料金も据え置く。ただし新幹線のグランクラスは軽食・飲料付きの「グランクラス(A)料金」を運賃と同時に値上げする計画で、すでに国交相に届け出ている。

初乗りは普通旅客運賃が現行200円のところ10円値上げして210円に。定期旅客運賃は1カ月の場合、通勤定期が1090円値上げの7690円、通学定期(高校)が300円値上げの3730円になる。

おもな区間の普通旅客運賃は、札幌~新千歳空港46.6kmが現行1150円のところ80円値上げの1230円。札幌~小樽33.8kmは現行750円のところ50円値上げの800円になる。

初乗りと札幌エリア、小樽エリアのおもな区間の現行額と改定額。【画像:JR北海道】
旭川エリアと函館エリア、北見・網走エリア、帯広・釧路エリアのおもな区間の現行額と改訂額。【画像:JR北海道】

JR北海道によると、道内の人口減少やコロナ禍によるリモート会議の普及などで鉄道の運輸収入が減少。一方で鉄道を維持するための修繕や設備投資にかかわる費用が物価の高騰で上昇しており経営環境が厳しさを増している。さらに若年退職者の増加と人材確保競争の激化で労働力の確保も厳しい状況だ。

こうしたことから現行の運賃・料金水準では輸送サービスの維持・改善は難しく、運賃を改定することにしたという。

JR北海道の鉄道部門収支は2022年度が332億2600万円の赤字だった。同社によると、2025~2027年度の3年間平均では現行運賃のままなら376億5000万円の赤字が見込まれるが、運賃を改定した場合は赤字額を339億円に縮小できるという。

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