井原鉄道「開業以来初」運賃値上げを申請 初乗り40円値上げ



井原鉄道は1月20日、国土交通省の中国運輸局長に鉄道事業の旅客運賃上限変更認可を申請した。認可された場合、10月1日に運賃を値上げする。値上げ率は平均で18%。

井原鉄道の列車。【画像:shonen_j/写真AC】

普通旅客運賃は初乗り(1~3km)が現行210円から40円値上げの250円に。吉備真備~井原など20~23kmの区間は現行670円から130円値上げの800円、総社~神辺41.7kmは220円値上げの1340円になる。JR伯備線の線路を借りて列車を運行している総社~清音は現行の特定運賃(190円)を据え置く。

井原鉄道の鉄道事業収支は、2023年度で収入が3億2781万3000円に対し、支出は3億6223万8000円で3442万5000円の赤字。2026~2028年度の3年間推定では、現行運賃のままなら8486万5000円の赤字なのに対し、運賃を改定した場合の赤字額は3888万4000円に縮小することを見込む。

普通旅客運賃の現行運賃と改定運賃。【画像:井原鉄道】

井原鉄道は総社~神辺の井原線(岡山県・広島県)を運営する第三セクター。運賃の値上げは消費税率の引き上げに伴うものを除き、1999年の開業以来初めてだ。同社によると、沿線人口の減少に加え、コロナ禍を機に「新しい生活様式」が定着したことで利用者数が減少。現在の運賃水準ではサービスの持続的提供が難しいとして運賃を改定するという。

井原線の輸送人員は2023年度が97万人で、2028年度には82万6000人に減る見通し。井原鉄道は今後、新しい企画乗車券の開発に加え、来年度2025年度中にはクレジット決済によるキャッシュレスシステムを導入するなどして利用者の増加を目指すとしている。

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