学研都市線・JR東西線の京橋駅「地下化」事業再開に向け調査へ



京橋駅の学研都市線・JR東西線ホーム。【撮影:草町義和】

長らく事業休止となっている大阪市の「JR片町線・東西線連続立体交差事業」が再開に向け動き出した。大阪市は7月、調査検討業務を日本交通技術に委託。履行期間は2022年3月31日までで、ルート・工法などの検討を行う。

この事業は京橋駅の片町線(学研都市線)・JR東西線ホームとその前後の線路を地下化し、学研都市線の京橋~鴫野間にある新喜多・馬の口・鯰江の踏切3カ所を解消するもの。事業区間の長さは約1300m。開削工法で地下化を図り、京橋駅に2面2線のホームを整備することが考えられている。

京橋駅の地下化は国の2000年度予算で連続立体交差事業(連立事業)の着工準備区間として採択され、大阪市は測量・地質調査を行うとともにJR西日本や関西高速鉄道(JR東西線の線路施設保有会社)との協議、概略設計などを実施した。2003年3月の時点で大阪市は2004年度にもJR西日本と基本協定を結び、都市計画決定を行う方針だった。

しかし、おおさか東線の計画変更などに伴い線路の形状の見直しが必要になったこと、総事業費は当初約400億円とされていたが、2004年度にJR西日本が実施した概略設計で600億円を超える可能性が浮上したこと、これに加えて大阪市の財政状況が悪化したことから、計画の具体化には至っていない。

2009年3月の事業評価では、総事業費の概算が約650億円(都市側約600億円、鉄道側約50億円)に膨張。2014年12月に開かれた建設事業評価有識者会議で「事業休止」と判定されていた。

学研都市線・JR東西線の京橋駅付近と地下化で解消される踏切(赤)の位置。【画像:国土地理院地図、加工:鉄道プレスネット編集部】

2017年8月には京橋駅周辺が都市再生緊急整備地域に拡大指定されたことから、大阪市は京橋駅の地下化を見据えたまちづくりの検討に着手。同駅に隣接するイオン京橋店(2019年9月閉店)をオフィス併設の商業施設に建て替える工事が始まるなど再開発の動きが活発化していることから、大阪市は改めて地下化の調査を行って事業実施の可否を判断する模様だ。

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