台湾北廻線の特急「タロコ号」脱線事故、死者50人に ※追記



清水トンネルに突っ込んだ「タロコ号」。中央に見える黄色い構造物が作業車とみられる。【画像:中央災害応変センター】

台湾東部の北廻線で4月2日、太魯閣号(タロコ号、日本の特急列車に相当)が脱線した。多数の死傷者が出ている。

台湾政府の中央災害応変センターが4月3日9時に発表した情報などによると、事故が発生したのは北廻線の和仁~崇徳間(花蓮県)の東線(2本ある線路のうち東側の線路)。すぐそばに清水トンネルの坑口がある。

線路の上方にある駐車場から作業車が線路に滑り落ち、ここを通りかかった樹林発の台東行きタロコ号(列車番号:第408列車)が9時28分、作業車に衝突して脱線、8両編成のうち前方6両が清水トンネルに突っ込み、このうち4両が激しく損傷した。乗客乗員496人のうち、運転士2人と乗客48人のあわせて50人が死亡。177人が病院に送られた。座席はほぼ満席だったとみられ、乗客のうち120人は立ち席だったという。

脱線したタロコ号の車両はTEMU1000形電車。2007年から2016年にかけ64両(8両編成8本)が導入された。JR九州の在来線特急で運用されている885系電車をベースに日立製作所が製作したもので、脱線したのは2016年に導入された編成だった。

北廻線は台湾東部の東部幹線を構成する路線のうち、蘇澳新~花蓮間の79.2kmを結ぶ路線。海岸沿いを通っているが、内陸部の高山の山腹が張り出しており、トンネルや橋りょうが多い。

※2021年4月4日17時03分追記:中央災害応変センターが4月4日11時に発表したところによると、死者は4月4日10時時点で51人に。200人が病院に搬送された。

※2021年4月5日1時18分追記:中央災害応変センターが4月4日19時に発表したところによると、4月4日18時30分時点で乗客494人(うち立ち席122人)と乗員4人(乗務人3人、清掃員1人)の合計498人のうち、乗員2人(運転士と運転助士)と乗客48人が死亡。202人が病院に搬送された。

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