お召列車の牽引機「EF58形61号機」鉄道博物館で常設展示 14年前に実質引退



鉄道博物館(さいたま市大宮区)は9月21日、お召列車の専用機として製造された電気機関「EF58形61号機」を常設展示すると発表した。展示は10月30日に開始。本館1階に展示する。

鉄道博物館での常設展示が決まったEF58形61号機(先頭)。【撮影:草町義和】

EF58形は国鉄時代の1946年から1958年にかけ172両が製造された旅客列車向けの直流電気機関車。同時期に製造された貨物列車向けのEF15形とは同じ設計の台車枠を使うなど共通点が多い。1号機から31号機までは従来型の電気機関車と同様、車体の両端にデッキを取り付けた箱形車体だったが、その後は半流線型の車体に変更。先頭部には飾り帯を取り付けてデザイン性を持たせた。1~31号機も流線型の車体に改造された。

このうち60号機と61号機は最初からお召列車の専用機として1953年に製造された。ステンレスの飾り帯を先頭部だけでなく側面にも取り付けたほか、旗の掲揚装置を追加。車体下部の走行装置各部の磨き出しなどの専用装置を当初から備えていた。

ほかのEF58形と異なり飾り帯が側面まで回り込んでいる。晩年は臨時列車やイベント列車の牽引が多かった。【撮影:草町義和】

その後は基本的に61号機がお召列車を牽引。60号機はごく初期を除いて61号機の予備機的な扱いで運用され、1983年に廃車された。61号機はこれ以降もお召列車に加え臨時列車やイベント列車を牽引。1987年の国鉄分割民営化ではJR東日本が61号機を引き継いだ。

しかし2007年、電車タイプの新型お召列車としてE655系が登場。14年前の2008年には実質引退し、鉄道車両としての登録を残したまま車両基地の東京総合車両センターで保管されていた。

鉄道博物館の展示車両が追加されるのは4年ぶり。これにより展示車両は屋内外合わせて42両になる。

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