芸備線の新見~備後落合間で増発 輸送密度「1日9人」中国山地のローカル線



JR西日本は1月30日、芸備線の列車を増やすと発表した。沿線の自治体などと連携して同線の利用促進を目指す。

芸備線の備後落合駅。【撮影:草町義和】

増発される列車の運転日は4月4日~7月31日の毎日で、伯備線の一部を含む新見~備後落合間で運転。下りは新見発8時22分と11時12分の東城行き普通列車2本を増発する。また、新見発7時17分の東城行き普通列車は運転区間を拡大して備後落合行きに変更する。上りは備後落合発9時09分の新見行きと、東城発11時56分の新見行きの普通列車を増発する。

芸備線は伯備線の備中神代駅(岡山県新見市)から東城駅や備後落合駅(広島県庄原市)、三次駅(広島県三次市)などを経て広島駅に至る、全長159.1kmの鉄道路線。備中神代方の列車は伯備線に乗り入れて新見駅を発着している。

中国山地の過疎地帯で岡山・広島県境の備中神代~備後落合間は、利用者が非常に少ない。1日1kmの平均通過人員(旅客輸送密度)は、2018年度で備中神代~東城間が73人、東城~備後落合間は9人だった。

同じ中国山地のローカル線で2018年に廃止された三江線(島根・広島県)の輸送密度は、JR西日本が発足した1987年度が458人だったのに対し、2013年度は44人まで落ち込んでいる。その後は163人(2017年度)まで回復したが、JR西日本発足時の輸送密度には届いていない。また、同線では2012年度に増発の実証実験が行われたが、運転本数を1.7~2倍としたのに対し、利用者数は2割程度の増加にとどまった。