京成本線の荒川橋りょう「架替」工事着手に向け準備 2021年度設備投資計画



京成電鉄は11月4日、本年度2021年度の鉄道事業設備投資計画を発表した。総額は156億円。連続立体交差事業(連立事業)や橋りょう架替の推進、車両の増備などを行う。

京成本線の荒川橋りょうのイメージ。(左:新橋りょう、中央:現橋りょう、右:堀切橋)。【画像:国土交通省】

押上線では東京都葛飾区内の四ツ木~青砥間を高架化する連立事業を引き続き推進。本線では京成関屋~堀切菖蒲園間の荒川橋りょう(東京都足立区・葛飾区)の架替事業について、2022年度からの工事着手に向けた準備と鉄道用地の取得を推進する。

高架化に向けた工事が進む押上線。【撮影:草町義和】

災害対策では、京成大久保駅などの駅舎と千原線・千葉中央~千葉寺間の耐震化に引き続き取り組むほか、本線・宗吾参道~公津の杜間の法面(のりめん)補強工事を引き続き実施する。

安全対策では、踏切自動障害物検知装置の高規格化や列車無線のデジタル化などを推進。デジタル無線の未設置車両について引き続き設置工事を行うほか、運転規制などの情報を乗務員に文字で伝達するための追加工事を実施する。京成電鉄はこれにより運輸指令と乗務員の円滑な情報伝達を可能とし、異常時対応の迅速化を図るとしている。

車両についてはアクセス特急用の3100形電車を16両(8両編成2本)増備する。このうち1本(第3156編成)は9月30日に営業運転を開始しており、11月12日には残る第3155編成も営業運転に入る予定だ。

3100形の第3156編成。【画像:京成電鉄】

駅施設は京成大久保・西登戸の両駅で耐震補強工事とあわせて駅舎内・外装の改修工事を実施。千葉中央駅舎のリニューアル工事も行う。菅野駅のバリアフリー化工事は本年度2021年度中の事業完了を予定している。このほか、駅・車内照明のLED化を進めて環境負荷の低減を図る。

国土交通省の関東運輸局によると、京成本線の荒川橋りょうは周辺堤防の高さに対して約3.7m低い。このため、橋りょうを架け替えて堤防をかさ上げし、橋りょうがある場所の流下能力を向上することが計画された。

現橋りょうを撤去したあとの新しい荒川橋りょう(トラス桁)のイメージ。【画像:国土交通省】

計画では現在の橋りょうの北側に背の高い新しい橋りょうを整備。橋りょうを含む京成関屋駅から荒川の左岸(東側)まで線路を付け替える。2016年度に現地測量、2017年度には用地調査が始まり、2019年度から線路を付け替える部分の用地買収契約が行われている。契約率は今年2021年9月1日時点で約26%。

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