大阪モノレール延伸「4年遅れ」軟弱地盤で工法変更、総事業費は1.6倍以上に



大阪府の都市整備部は4月24日、大阪モノレール線の延伸事業について、開業目標時期を延期すると発表した。事業費も大幅に増加する。

大阪モノレール線の延伸工事現場で見られる看板。【撮影:草町義和】

大阪モノレール線は大阪空港~門真市の21.2kmを結ぶ路線で、門真市~瓜生堂(仮称)の8.9kmの延伸区間が工事中。瓜生堂駅は近鉄奈良線との交差部に設けられ、近鉄奈良線にも新駅を整備して連絡する。現在、軌道桁の支柱や車両基地などの工事が行われている。

開業目標時期はこれまで2029年としていたが、駅舎の基礎工法の変更が必要になったため、おおむね4年程度(2033年ごろ)延期する。

大阪モノレール線の既設区間(黒太線)と延伸区間(赤、駅名は仮称)。【画像:OpenRailwayMap/OpenStreetMap、加工:鉄道プレスネット】

都市整備部によると、瓜生堂駅の基礎は当初「大口径場所打ち杭基礎」という工法を採用。筒形の機械を地中に挿入して掘削し、土砂を排出してコンクリートを打設する計画だった。しかし詳細な土質調査の結果、地盤が想定より軟弱で、この工法では耐荷重が不足することが判明した。

このため工法を「オープンケーソン基礎」に変更。筒状の構造物を沈設して掘削し、既定の深さまで到達したあとにコンクリートを打設する。この工法では1基あたりの施工日数が長いうえ、大型の施工機械が必要になるため同時に施工できる基数が限られる。このため基礎工事が長期化することになったという。

大口径場所打ち基礎とオープンケーソン基礎の違い。【画像:大阪府】

インフラ部の事業費も従来の約786億円から大幅に増える。都市整備部によると、駅舎の基礎工法の変更と近畿道など近接する構造物への影響対策に約180億円かかるほか、資材単価や建設労務費など物価の上昇で約530億円の増加。用地補償費も約30億円増加する。その一方、大規模な門型支柱を採用する計画だった支柱の一部は土質調査の結果、小規模な逆L型支柱に変更することが可能に。これにより建設コストを約90億円削減するという。

門型支柱と逆L字型支柱の違い。【画像:大阪府】

この結果、インフラ部の事業費は従来計画より約650億円増加し、1.8倍以上の約1436億円になる。

大阪モノレールのような都市モノレールの場合、インフラ部は国や自治体が公共施設として整備する支柱や軌道桁のこと。車両や駅務機器などは運営事業者が整備するインフラ外部になる。延伸区間のインフラ部とインフラ外部を合計した総事業費は、これまで約1050億円とされていた。

仮にインフラ外部の費用が従来のままだとしても、総事業費は1.6倍以上の約1700億円に膨れあがる。インフラ外部の事業費も物価上昇などの影響を受けて増加する可能性は高いとみられる。

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