京王のバス乗務員「芸名」選択可能に プライバシー確保しつつサービス向上



京王電鉄バスと京王バスの2社は3月28日、バス車内で掲示している乗務員の氏名表示について、現在の本名表示に加え乗務員自身が考案した「ビジネスネーム」を4月1日から導入すると発表した。乗務員のプライバシーに配慮しつつサービス向上を目指す。

京王バスの夜行高速バス。【撮影:草町義和】

ビジネスネームは戸籍上の本名とは異なる仕事上の名前。芸能人の芸名に相当し、作家や漫画家、ライターのペンネームもビジネスネームの一種だ。

ビジネスネームの使用は任意。たとえば本名「堤慶太」のバス運転手が「五島康次郎」をビジネスネームとして定め、バス車内に掲示することができる。また、2社はビジネスネームの使用開始にあわせ、乗務員が着用している腕章を省略する。

バスやタクシー、自家用有償旅客運送では従来、乗務員などの氏名表示が旅客自動車運送事業運輸規則などにより義務づけられていた。しかし乗務員などのプライバシーに配慮するため、昨年2023年8月の法令改正で氏名表示義務が廃止された。

京王バスの夜行高速バス。【撮影:草町義和】

2社によると、年間700件近い「お褒めのお言葉」がアンケートはがきや電話、投書などで寄せられている。その多くが乗務員の名前を特定した内容。寄せられた意見を乗務員と共有するとともに表彰することで乗務員の励みになり、サービス向上にもつながる。その一方で2社は乗務員のプライバシー確保の観点から、本名とは異なるビジネスネームを選択できるようにするという。

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