BRTひこぼしラインの本数・時間「1.5~1.6倍」ダイヤ発表、運賃ほぼ同額



JR九州は5月26日、日田彦山線BRT(BRTひこぼしライン、福岡県・大分県)の運行ダイヤや運賃などを発表した。日田彦山線の運休区間と久大本線への乗り入れ区間を含む添田~夜明~日田でバス高速輸送システム(BRT)による運行を行う。鉄道時代より運行本数を増やし、運賃は鉄道時代とほぼ同額。JR九州バスが運行主体となり、8月28日に開業する。

日田彦山線の添田駅(2020年9月)。BRTひこぼしラインのバスもホームに乗り入れて対面乗換できるようにする。【撮影:鉄道プレスネット】

BRT駅は起終点を含む36駅で鉄道時代の3倍。運行本数は32本で、鉄道時代に比べ約1.5倍になる。区間別では、添田~彦山が鉄道時代より6本多い28本。彦山~筑前岩屋は2本増の20本、筑前岩屋~日田は6本増の24本になる。日田発着の24本のうち7本は、光岡~日田で日田市役所前停留所などを経由する。

BRTひこぼしラインの駅。【画像:JR九州】
BRTひこぼしラインの区間別運行本数(カッコは点線区間の市役所経由便)。鉄道時代の約1.5倍になる。【画像:JR九州】

鉄道の日田彦山線とBRTひこぼしラインが接続する添田駅は、列車とBRTを同じホームで乗り換えることができる「対面乗換」を採用。添田駅を発着するすべてのBRTで列車との接続を図るダイヤを設定する。

添田駅の対面乗換のイメージ。【画像:JR九州】

所要時間は日田市役所などを経由しない直行ルートの場合、添田~日田が約1時間32分。鉄道時代(約56分)の約1.6倍で36分長い。添田~彦山は4分増の約16分、筑前岩屋~日田は26分増の約33分だ。

BRT線内の普通運賃は現在の鉄道運賃と同額を基本とするが、一部の区間は安くなる。鉄道とBRTを乗り継ぐ場合は鉄道運賃とBRT運賃を合算したうえで乗継割引(100円)を適用する。

池尻~(鉄道)~添田~(BRT)~大行司の場合、鉄道運賃(230円)とBRT運賃(400円)をそのまま合算すると、いまより60円高い630円。乗継割引の適用で530円になり、いまより40円安くなる。

鉄道・BRT乗り継ぎの運賃イメージ。【画像:JR九州】

ほかの区間では小倉~彦山がいまより50円安い1130円になるが、田川後藤寺~豊前桝田はいまより90円値上げの370円で、区間により値下げになるケースと値上げになるケースがある。

定期運賃は鉄道とBRTを乗り継ぐ場合も含め、現在の鉄道定期運賃と同額。BRT化に伴い新設するBRT駅の定期運賃は、BRT駅間に設定する運賃計算キロに基づき鉄道定期運賃を適用する。

鉄道・BRTを乗り継ぐ切符の発売区間は、おおむね久大本線とその北側のJR九州線(日豊本線・行橋~別府や長崎本線など除く)に限られ、経由する鉄道・BRT接続駅によっても発売範囲が変わる。

鉄道・BRTを乗り継ぐ切符の発売範囲。【画像:JR九州】

日田彦山線は2017年の九州北部豪雨で甚大な被害が発生し、いまも添田~夜明の区間が運休中。もともと利用者が少なく鉄道の復旧・維持が難しいことからBRTへの転換が計画された。彦山~宝珠山は線路敷地を再整備したバス専用道を走り、その前後の区間は一般道を走る。

BRTひこぼしラインに導入される電気バスのイメージ。【画像:JR九州】

運営はJR九州が事業主体となり、土地や車両を保有。JR九州子会社のJR九州バスが運行や運行管理などを行う運行主体になるが、ほかのバス会社に委託する場合もあるという。

JR九州はBRTへの転換について、学校の始業時刻にあわせて増便するほか、日中時間帯や夕方の通勤通学時間帯も増便し、通院や買い物、帰宅などがより便利になるとしている。

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