リニモ「開業以来初の運賃改定」13.9%値上げへ 日本初のリニア路線



東部丘陵線(リニモ)を運営する愛知高速交通は9月22日、軌道事業の旅客運賃改定に関する認可を国土交通省の中部運輸局長に申請した。認可された場合、愛知高速交通は運賃改定を来年2026年秋に実施する。消費税率の引き上げに伴うものを除くと、リニモの運賃改定は開業以来初めて。

リニモの列車。【画像:ネライト/写真AC】

全体では13.9%の値上げで、普通旅客運賃は一律40円値上げする。初乗り(2kmまで)は現行170円のところ200円を超えて210円に。8kmを超える区間では現行380円のところ420円に値上げする。

リニモは名古屋市営地下鉄東山線の藤が丘駅と愛知環状鉄道線の八草駅を結ぶ8.9kmの鉄道路線。愛知万博会場への主要アクセスルートとして2005年に開業した。常設の営業路線としては日本で初めて磁気浮上式のリニアモーターカー(常電導吸引型)を採用した。

年間輸送人員は愛知万博が開催された2005年度が約2130万人だったが、2006年度は約500万人に激減。その後、沿線での住宅開発や大型商業施設の出店、大規模公園施設「ジブリパーク」の開園などで利用者が増え、コロナ禍が本格化する前の2019年度は約920万人だった。2024年度には1000万人を超えた。

リニモは常電導吸引型の磁気浮上式リニアモーターカーを採用している。【撮影:草町義和】

愛知高速交通によると、物価上昇や人件費の高騰による修繕費・設備更新費の増加と電気代の高止まりで鉄軌道事業を取り巻く環境は非常に厳しくなっている。一方で開業から20年が過ぎ、電気や通信、信号保安、駅務機器などの老朽化対策として計画的な投資を行っているが、数年後には内部留保資金が枯渇する見込み。現行運賃のまま輸送サービスを安定的に提供し続けることは非常に難しいとして、運賃の改定を申請したという。

普通旅客運賃の現行額と申請額、運賃差。【画像:愛知高速交通】

愛知高速交通の鉄道部門収支は、2024年度が19億7793万9000円の収入に対し支出は23億6606万7000円で3億8812万8000円の赤字。2027~2029年度の3年間合計の推定は現行運賃のままなら11億7099万7000円の赤字が見込まれるのに対し、運賃を改定した場合は赤字額が3億1886万6000円に抑えられる見込みだ。

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