京王電鉄は11月6日、京王線系統のすべての駅にホームドアを整備することを決めたと発表した。自動運転設備の整備工事にも着手する。
京王電鉄の井の頭線では5駅のホームドアが整備済みで、それ以外の駅でもホームドアを設計・工事中だ。一方、京王線系統では調布駅など7駅でホームドアが整備済みだが、それ以外の駅は従来、明大前駅と京王永山駅の2駅のみ設計・工事中となっていた。
京王電鉄によると、同社は1日あたりの乗降客数が10万人以上の駅や、国際的なスポーツ大会の会場最寄駅、輸送密度が高い割にホームが狭い井の頭線を優先してホームドアの整備を進めてきた。しかし、「さらなる高度な安全、安心を実現させるため、お客様の安全性と列車運行の安定性確保の観点」から、京王線系統の全駅にホームドアを整備することを決定。バリアフリー対策として列車とホームの段差・隙間を縮小する対策も同時に実施するという。
京王電鉄はこのほか、ホームドアの整備でホーム上の安全性が向上するとして自動運転設備の整備工事にも着手する。自動運転レベルはGoA2(半自動運転)を採用。運転士が出発ボタンを押すと自動的に発車、加速、減速して次の停車駅で停止するもので、ドアの開閉や緊急停止操作などは運転士が行う。
京王線系統でのホームドア整備・自動運転化の事業費は総額831億円の見込み。内訳はホームドア工事が669億円、自動運転化工事が162億円になる。本年度2024年度から工事に着手し、ホームドアは2030年代前半の完了を予定。2030年代中ごろには自動運転化工事の完了を予定する。
京王電鉄は来年2025年春から井の頭線でレベルGoA2の自動運転の実証試験を実施する計画で、試験結果は京王線系統の自動運転化にも活用する考え。同社はホームドアの整備と自動運転化により「生産年齢人口減少や働き方改革がさらに進行した事業環境下においても、鉄道輸送の安全およびサービスレベルを確保しながら持続可能な鉄道事業を目指してまいります」としている。
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