JR貨物「もと敦賀港駅」営業終了へ かつて国際航路に連絡、140年以上の歴史に幕



JR貨物は12月13日、トラックによるコンテナ輸送の拠点施設(オフレールステーション)「敦賀港新営業所」(福井県敦賀市)について、来年2025年3月15日に実施するダイヤ改正にあわせて営業を終了すると発表した。もとは敦賀駅から延びる貨物支線の終点「敦賀港駅」だった施設。140年以上の歴史に幕を閉じる。

営業終了が決まったJR貨物の敦賀港新営業所。【撮影:草町義和】

敦賀港新営業所は明治期の1882年、敦賀港の金ヶ崎地区に国鉄線の金ヶ崎駅として開業した。のちに貨物のみ取り扱うようになるが明治末期には旅客営業を再開。敦賀とロシア極東の都市ウラジオストクを結ぶ航路に連絡する旅客列車が乗り入れるようになった。

1919年には敦賀港駅に改称されたが、1940年代の戦時体制への移行に伴い再び貨物駅に変わった。1987年の国鉄分割民営化ではJR貨物が敦賀駅と敦賀港駅を結ぶ北陸本線貨物支線(敦賀港線)を継承。しかし貨物輸送のトラックへの移行に伴い2009年に貨物列車の運行が終了し、2019年には敦賀港線が正式に廃止された。

敦賀港駅と敦賀港線の位置。【画像:国土地理院地形図、加工:鉄道プレスネット】

貨物列車の運行終了後の敦賀港駅はオフレールステーションに変わり、名称も敦賀港オフレールステーションを経て現在の敦賀港新営業所に変わった。JR貨物は敦賀港新営業所の営業終了後について「最寄りの南福井駅をご利用ください」と呼びかけている。敦賀港新営業所から南福井駅までは直線で約45km離れている。

敦賀市などは金ヶ崎地区の再開発を構想しており、敦賀港新営業所の跡地には鉄道公園などを整備することが考えられている。

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