釧路駅の高架化検討進む 駅の高架下に公共交通優先道路も、本年度内に事業構想策定へ



釧路駅の高架化のイメージ。【画像:釧路市】

北海道の釧路市は、JR根室本線・釧路駅の高架化を基本とした「釧路都心部まちづくり計画」の検討を進めている。本年度2020年度内には事業構想を策定する方針だ。

釧路市が示している高架化案によると、北中跨線橋付近から旭跨線橋付近までの1820mを高架区間とし、釧路駅とその前後の線路を高架化するもの。釧路駅のホームは現在3面5線だが、高架化に際しては2面4線にすることを想定している。

これにより、北中跨線橋と旭跨線橋を解消して道路を地表化。さらに駅の前後に高架橋をくぐる都市計画道路を新設する。高架駅の下をくぐる公共交通優先道路の整備も想定されている。

釧路駅の駅ビル。高架化の場合は撤去されるとみられる【画像:丸岡ジョー/写真AC】

釧路市は今年2020年8月18日から、事業構想の前半部(事業構想の基本理念など)についてパブリックコメントを実施している(9月18日締切)。今後は来年2021年1月に事業構想の素案を示し、再びパブリックコメントを実施。同年3月末までに事業構想を策定する予定だ。

釧路駅の高架化は1989年、北海道の釧路圏総合都市交通体系調査で鉄道の高架を検討。1997年頃から実現に向けた動きが活発化した。釧路市は2007年、周辺の土地区画整理事業なども含む総事業費について、線路高架化プランで290億円、駅舎橋上化プランで240億円かかると試算。このうち高架化プランでは、鉄道高架整備費と街路整備費の合計を189億円としていた。しかし、財政面から実現は困難とされ、計画は凍結された。

釧路市中心部の鉄道路線。釧路駅とその前後(赤)を高架化する。【画像:国土地理院地図/加工:鉄道プレスネット編集部】

釧路市は2011年の東日本大震災を機に、津波防災の観点から再検討。2016年度にまちづくり計画の基本構想が策定された。事業費の再試算も実施され、高架化区間の両端をコンクリート橋から盛り土に変更することで、鉄道高架整備費・街路整備費の合計を121億円とし、68億円圧縮できるとした。2019年度からは、基本構想に基づき具体的な事業内容を盛り込む事業構想の策定作業が始まっている。

鉄道の高架化事業は通常、都道府県が事業主体となり、国や自治体が事業費の大半を拠出する「連続立体交差事業」(連立事業)か、道路のほうを立体化する場合の費用を限度額として鉄道を高架化もしくは地下化する「限度額立体交差事業」で行われる。釧路駅付近の高架化の事業方式は決まってないが、釧路市は北海道を事業主体とする連立事業として実施する方向で、北海道と協議する方針だ。