国土交通省の鉄道局などで構成される「デュアル・モード・ビークル(DMV)に関する技術評価検討会」は11月4日、阿佐海岸鉄道で実施したDMVの試験結果について安全性に問題ないことを確認した。世界初とされるDMVの営業運転が年内にも始まる可能性が高まった。
阿佐海岸鉄道は技術評価検討会の結果を受け、「当社としてはDMVの営業運行開始に向けて、大きな一歩を踏み出せたものと考えております。引き続き、安全安心な運行体制の構築を大前提に、一日も早い運行開始を目指して、全力で取り組んでまいります」とコメントした。
DMVは線路と道路の両方を走れる乗り物。阿佐海岸鉄道が運営する阿佐東線・阿波海南~甲浦間(徳島県・高知県)の10.0kmを走り、同区間の前後では道路を走る。
当初は2020年度内の営業運転開始が予定されていたが、新型コロナウイルスの感染拡大で工事が遅れたことや、車両・運転保安システムに追加の安全対策が必要になったことなどから、2020年12月には運行開始時期を2021年夏頃に延期することが決まった。
その後、走行試験で車輪アームの構造に問題があることが判明。今年2021年6月の技術評価検討会では、補強などの対策をしたうえで試験走行と技術評価を再度行うことが決まった。これを受けて阿佐海岸鉄道は、DMV営業運行開始のさらなる延期を決定。年内の運行開始を目指していた。
《関連記事》
・阿佐海岸鉄道「DMV」年内の営業運行を目指す 再び延期、車輪アームを再設計へ
・阿佐海岸鉄道「DMV」導入に先立ち上限運賃申請 阿波海南駅と甲浦駅は「線路の外」に