阿佐東線(徳島県・高知県)を運営する阿佐海岸鉄道は6月29日、鉄道線路と道路の両方を走れる車両「デュアル・モード・ビークル(DMV)」の営業運行開始を再度延期すると発表した。これまで7月頃の営業運行開始を目指していたが、改めて今年2021年内の営業運行開始を目指す。
阿佐海岸鉄道や徳島県が公表した資料によると、国のDMV技術評価検討会の委員からの指摘を受け、車輪アームの安全性を確認するための応力測定を6月16日に実施。その結果、車輪アームに働く応力が疲労限度に関する許容応力を超過していることが分かった。
このため、6月25日に開かれたDMV技術評価検討会の第3回会合では「車輪アームについては、補強等の対策を施し、再測定を実施し、次回の検討会において改めて評価を行うこと」とした。これを受けて阿佐東線DMV導入協議会は6月29日、営業運行開始までのスケジュールを見直すことを決めたという。
スケジュール案では、7月以降に車輪アームの再設計・再製作・再測定を実施。その後、国土交通省の技術評価検討会で再測定結果の確認を実施し、安全性が確認されれば導入協議会で営業運行開始日を決定し、鉄道事業法に基づく車両確認の申請を行う。確認を受けたのち、国土交通省による保安監査・業務監査、DMVの内覧会を経て、年内の営業運行開始を目指す。
阿佐海岸鉄道は当初、2020年度内のDMVの営業運行開始を目指していたが、車両や運転保安システムなどに追加の安全対策が必要になったとして延期し、東京オリンピック・パラリンピック開催前(2021年7月頃)の営業運行開始を目指していた。
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