阿佐海岸鉄道「DMV」来年7月までに導入へ 新型コロナや安全対策追加で「世界初」延期



阿佐東線(徳島県・高知県)を運営する阿佐海岸鉄道は、線路と道路の両方を走れるデュアル・モード・ビークル(DMV)について、導入時期を来年度2021年度に延期する。12月25日、徳島県や阿佐海岸鉄道などで構成される「阿佐東線DMV導入協議会」の第7回会合で報告された。

試験走行を行っているDMV。【画像:徳島県】

阿佐東線は、四国南東部の海部~甲浦間を海沿いに結ぶ鉄道路線。阿佐海岸鉄道は海部駅で接続しているJR牟岐線のうち阿波海南~海部間を阿佐東線に編入したうえで、DMVを導入する計画。阿佐東線の前後の区間で道路に乗り入れる。現在はDMV導入に向けた工事のため阿波海南~海部~甲浦間が運休中で、代行バスが運転されている。本年度2020年度中にDMVの営業運転が始まる予定だった。

協議会で明らかにされたところによると、新型コロナウイルスの影響のほか、鉄道と線路を直通する乗り物としては「世界初の本格営業運行」のため「関係者においてもこれまで経験したことのない作業」となり、想定より協議に時間がかかっている。

また、車両の製造や駅舎の改築、運転保安システムについて「さらなる安全対策が追加」となったことから、運休期間が4カ月ほど延びる見込みになったという。これにより代行バスの運転期間も延びるほか、事業費は2億4000万円増えて約16億3000万円になる。

今後は来年2021年の1月から春頃にかけ性能試験を実施し、春頃にはハード整備を完了させて習熟訓練を開始。技術評価検討会で安全性を確認したうえで、7月に開催予定の東京オリンピックまでに運転を開始する方針だ。