JR東海の在来線に新しい降雨運転規制 土石流発生危険度評価システムなど導入



JR東海は5月15日、在来線に新しい降雨運転規制を6月1日から導入すると発表した。土壌雨量と土石流発生危険度評価システムを用いて運転規制の判断を行う。

新しい降雨運転規制が導入されるJR東海の在来線(写真は飯田線)。【撮影:草町義和】

JR東海は現在、駅などに設置した雨量計を使い、過去1時間に降った降雨量(時雨量)と降り始めからの単純な累積(連続雨量、12時間降雨なしでリセット)を目安に列車の徐行や運転中止などを判断している。新しい降雨運転規制では、連続雨量の代わりに「土壌雨量」を導入する。

土壌雨量は気象庁が土砂災害警戒情報などに用いているモデルを活用して算出。具体的な時雨量と土壌雨量の運転区間ごとの規制値は、地形や過去の災害履歴などJR東海のデータに照らして設定する。JR東海はこの方法により運転規制を的確に行うことができるようになるとしている。

連続雨量を用いた現在の指標(左)と土壌雨量を用いる新しい指標(右)。【画像:JR東海】

土石流発生危険度評価システムは、線路から離れた場所を発生源とする大規模な土石流が想定される渓流を対象に、「レーダー雨量」を用いて渓流ごとの危険度をリアルタイムに評価するシステム。JR東海が2014年度から研究開発を進めてきた成果を活用する。

レーダー雨量は、気象庁や国土交通省が地上に設置しているレーダーから空中に電波を発射し、それにより雨の強さを把握するもの。1km四方程度の降雨の状況を面的に観測できるという。鉄道の運転規制に土石流発生危険度評価システムを取り入れるのは国内初で、レーダー雨量を活用した運転規制を全線に導入するのも国内初という。

土石流発生危険度評価システムのイメージ。【画像:JR東海】