「富士山登山鉄道」富士スバルラインに路面電車を整備 山梨の検討会が最有力案を承認



山梨県の富士山登山鉄道構想検討会の理事会は2月6日、富士山麓と富士山5合目を結ぶ富士山有料道路(富士スバルライン)上に、いわゆる「次世代型路面電車」の軽量軌道交通(LRT)を整備する案を最有力とする素案を承認した。今年2020年中に基本構想を公表する。

富士山を登る電車のイメージ。【作成:鉄道プレスネット編集部/撮影:草町義和】

検討会はこれまで、富士スバルラインの全線に軌道系交通システムを敷設する「Aルート」と、富士スバルラインのうち雪崩が多発する区間を最短距離で短絡する「Bルート」を検討。機種はAルートで「普通鉄道」「ラックレール式鉄道」「LRT」の3案、Bルートで「ケーブルカー」「ロープウェイ」の2案を検討してきた。

素案によると、Aルートの普通鉄道とラックレール式鉄道は、輸送力が大きく積雪や凍結にも比較的強いとされたが、道路を鉄道に造り替えることから、緊急車両の通行が困難になることや橋りょうの架け替えが必要になる可能性などを指摘した。

これに対してLRTは、道路面に軌道を敷設する併用軌道の採用で、電車と自動車が同じ通路を走行することが可能。緊急車両との併用も可能な点が評価された。Bルートはケーブルカーとロープウェイのいずれも、法制度への適合性や景観への影響などに課題があるとされた。

こうしたことから素案は、「現時点では、『富士スバルライン上にLRTを敷設』することが、最も優位性が高いと評価される」と結論づけた。検討会は今後も検討を進め、2020年12月にも基本構想を公表する方針だ。

富士スバルラインは1964年に供用を開始した。山梨県側の富士山麓で鉄道路線を運営している富士急行はこれに先立ち、5合目と山頂を結ぶ地下ケーブルカーを計画。のちに同社は自然保護を重視するなどとして、1974年までに計画を中止した。

1990年代にも山梨県が新交通システムの導入を検討したが、新しいルートで整備するのは難しいとし、富士スバルラインに電気バスやトロリーバスを走らせる案が有力と結論づけている。

一方で富士スバルラインは観光客の増加で渋滞が激しくなり、自動車の排出ガスによる環境への影響も懸念されるようになった。2013年には富士山が世界文化遺産に登録されたのを機に、登山鉄道の構想が再浮上。2015年に富士五湖観光連盟が登山鉄道の建設を提言し、山梨県も昨年2019年から検討を本格化させている。

富士スバルラインの位置。【作成:鉄道プレスネット編集部/国土地理院の地図を加工】