大阪メトロ中央線「万博延伸」事業許可など申請 運賃低く抑えるための手続き始まる



2025年に開催される大阪・関西万博の会場アクセス路線として工事が進む北港テクノポート線の一部区間について、大阪メトロと大阪港トランスポートシステム(OTS)は8月25日、第2種鉄道事業許可と事業基本計画等変更認可を国土交通大臣に申請した。実質的には大阪メトロ中央線の延伸区間で、営業面の手続きが始まった。

大阪メトロ中央線の新型車両400系電車(撮影地は乗り入れ先の近鉄けいはんな線)。【ポニー/写真AC】

申請区間は北港テクノポート線のうち「南ルート」と呼ばれるコスモスクエア~夢洲の3.2km。2024年度末ごろの開業を目指す。新設駅は終点の夢洲駅のみで、途中駅は設けない。コスモスクエア駅で大阪メトロ中央線と接続。同線の列車が大阪・関西万博の会場最寄駅となる夢洲駅まで直通し、会場輸送のメインルートになる。万博閉幕後は会場跡地に整備される統合型リゾート(IR)のアクセス輸送を行う計画だ。

北港テクノポート線はコスモスクエア~新桜島を結ぶ7.5kmの鉄道新線計画。大阪湾の人工島「夢洲」「舞洲」を周回するルートになる。

夢洲と舞洲を周回する軌道交通の構想は1980年代からあった。1990年代に入ると、2008年夏季オリンピックを大阪に招致する構想が浮上。舞洲に主要会場を整備することが考えられたことから北港テクノポート線が計画され、OTSが2000年に同線の第1種鉄道事業(線路を保有して列車を運行する事業)の許可を受けた。

コスモスクエアと夢洲を結ぶ道路・鉄道共用の海底トンネル(夢咲トンネル)の工事が進められたが、2001年に大阪オリンピックの招致に失敗したこともあり、北港テクノポート線の事業は凍結。道路部分のみ2009年に開通した。

2018年には大阪・関西万博を夢洲地区で行うことが決まり、翌2019年に北港テクノポート線の南ルートのみ事業が再開された。今年2023年6月には夢洲駅と夢咲トンネルをつなぐトンネルがすべてつながった。

北港テクノポート線の位置(赤:南ルート、青:北ルート)。南ルートのみ事業を再開しており、鉄道事業上は大阪メトロがOTSから線路を借りて列車を運行する形に変更される。【画像:国土地理院地図、加工:鉄道プレスネット】

OTSなどによると、コスモスクエア~夢洲のひと駅間でOTSが旅客輸送する場合、新たに同社単独の運行管理や保守管理に対する経費が必要で、それらを補うための初乗り運賃を設定する必要がある。一方、大阪メトロなら既設の中央線と一体的に運営することが可能で、運賃を低く抑えることができる。このため、大阪メトロはOTSから線路を借りて列車を運行する第2種鉄道事業許可を申請。OTSは線路を大阪メトロに使用させるための事業基本計画等変更認可を申請したという。

このほか、OTSはこれまで仮称としてきた夢洲駅の駅名をそのまま開業時の正式な駅名とすることを決め、8月25日付けで近畿運輸局長に届け出た。

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