国土交通省は3月4日、ひたちなか海浜鉄道(茨城県ひたちなか市)が申請していた事業基本計画変更を認可した。事業着手が遅れている湊線の延伸区間について、中間駅の位置を変更するとともに2段階に分け、国営ひたち海浜公園の南口付近までの区間を先行して整備する。
ひたちなか市によると、認可されたのは湊線の終点、阿字ヶ浦駅から海浜公園西口付近の新駅2駅(仮称)まで3.1kmの延伸区間の計画変更。これまで阿字ヶ浦土地区画整理事業区域の海寄りに設ける計画だった新駅1駅(仮称)の位置を、海浜公園南口付近に変更する。これにより阿字ヶ浦~新駅1の距離は0.6kmから1.4kmに変わる。全体のルートと距離は変わらない。
新駅1駅の従来の予定地は、駅と駅前道路の高低差が大きくなるなどの課題があった。海浜公園南口付近に移すことで海浜公園のアクセスが向上するほか、今後宅地分譲が進んで住民利用が期待されることや、茨城県が整備する工業団地への通勤・来訪などでの活用が期待できるという。また、新駅1駅の新しい予定地付近の線路構造は従来の計画では高架橋だったが、盛土に変更して建設コストを抑える。
工事は阿字ヶ浦~新駅1の第1期区間と新駅1~新駅2の第2期区間に分けて実施する計画に変わった。第1期区間の工事施行認可は3月中に申請し、2025年度中にも着手。着手から5年後(2030年ごろ)の開業を目指す。
第2期区間の開業時期は未定だが、第1期区間の工事終了前には工事施行認可を申請する予定。現在の工事施行認可申請期限は今年2024年3月のため、申請期限の延長を申請する必要がある。ひたちなか市は第1期区間の工事施行認可申請とあわせて第2期区間の申請期限延長を申請する考えで、新しい申請期限は2030年3月31日になるとみられる。
延伸区間は2021年1月にひたちなか海浜鉄道が第1種鉄道事業許可を取得。この時点では2024年春の開業を予定していた。しかしコロナ禍の影響で関係機関との調整が遅れたことに加えて物価高騰などで事業費が増大する見込みとなったことから事業に着手できず、ひたちなか市とひたちなか海浜鉄道は計画の変更を検討していた。
事業費は当初、全体で78億3500万円とされていたが、今回の計画変更では126億4100万円に増大。このうち第1期区間は59億2300万円としている。
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