西武鉄道の40000系「40両」増備 2023年度投資計画「中古車両」導入計画は?



西武鉄道は5月11日、本年度2023年度の鉄道事業設備投資計画を発表した。総額251億円を投じ、車両の増備やホームドアの整備などを推進する。

2023年度は40両が増備される40000系。【撮影:草町義和】

車両関係は40000系電車を40両(10両編成4本)増備。既存の6000系電車は10両編成1本をVVVFインバーター制御装置に更新して消費電力の削減を図る。今回増備する40000系には車内防犯カメラを搭載するほか、既存車両についても防犯カメラの設置に向けた準備を進める。また、列車運行中の前方と後方の映像を記録するドライブレコーダーの全編成への導入に向け、2023年度から設置を進める。事故や妨害行為などが発生した際の状況確認と原因究明に活用する。

運行関係は無線式列車制御(CBTC)の導入に向けた西武多摩川線での実証試験に着手。2024年度初頭の走行試験に向け、準備工事を進める。また、現在の運行管理システムが老朽化しているのを機に、機器の集約を図った新しい運行管理システムを導入。従来システムでは運転整理や運転規制の情報を音声でやり取りしているが、新システムでは文字情報による通告を併用する。2023年度は池袋線系に導入する。列車運行情報の提供システムは入間市駅に新設するほか、老朽化した設備の更新を行う。

CBTCの実証試験に向け準備工事が行われる西武多摩川線。【撮影:草町義和】

安全対策関係では、ホームドアや高規格踏切支障検知装置などの整備を推進する。西武鉄道は2019年度実績で1日10万人以上が利用する6駅22番線にホームドアを整備しているが、10万人未満の駅も含めて整備を推進するとしている。2023年度は池袋駅(1番・7番・特急ホーム)や新所沢駅など8駅23番線でホームドアの整備に着手し、花小金井駅と小平駅の2駅6番線でもホームドアの整備に向けた検討を進める。

所沢駅に整備されたホームドア。【撮影:草町義和】

踏切支障検知装置は従来の線で検知する光電式い代わり面で検知する高規格な2D式の導入を推進。2023年度は2カ所に2D式を導入するほか、10カ所で2D式に更新する。このほか、踏切内の異常を運転士に知らせる信号機(信号特殊信号発光機)と自動列車停止装置(ATS)の連動化や、踏切内にとり残された人を画像解析で検知して列車に知らせる踏切異常検知システムの導入を引き続き進める。

踏切支障検知装置は光電式(左)から2D式(右)への更新を進める。【画像:西武鉄道】

線路の高架化や地下化により踏切の解消を図る連続立体交差事業は、西武新宿線・中井~野方と東村山駅付近で引き続き推進。西武新宿線の野方~井荻と井荻~西武柳沢は早期事業化に向けた準備を進める。西武新宿駅とJRなどの新宿駅方面を結ぶ地下通路は、早期実現に向け具体的な検討や関係者との協議を進める。

高架化工事が行われている東村山駅(写真は2020年)。【撮影:草町義和】

昨年2022年5月に公表した「サステナ車両」の導入については「現在準備を進めています」とし、2023年度中に導入するかどうかや車両の購入先は明らかにしなかった。西武鉄道はサステナ車両を「VVVFインバーター制御車両等の環境負荷の少ない他社からの譲受車両を指す」と定義しており、実現すれば大手私鉄としては異例の中古車両の導入になる。

《関連記事》
西武鉄道「他社からの譲受車両」導入へ 条件は「無塗装」「VVVF」大手私鉄では異例
西武鉄道、無線式列車制御「全線導入」目指す 多摩川線で「西武式CBTC」実証実験