JR四国の全線「2年連続の赤字」改善傾向だが赤字増・利用者減の路線も



JR四国は11月8日、2021年度の全8線18区間の線区別収支などを発表した。改善傾向は見られるものの、2020年度に続き2年連続で全線区が営業赤字。依然として厳しい状況が続いている。

赤字額が縮小した瀬戸大橋線。【撮影:草町義和】

全線区合計の営業赤字は199億3400万円で、100円の収入を得るのにかかった費用の指数(営業係数)は233。新型コロナウイルス感染症の影響から一部回復した結果、赤字額は前年度2020年度(225億7500万円)に比べ26億4100万円減った。コロナ禍前の2019年度との比較では67億8600万円の悪化となっている。

本四備讃線(瀬戸大橋線)の児島~宇多津は、瀬戸大橋の鉄道部分の更新費用を国が支援措置として負担したことなどから営業費用が減少。赤字額は2020年度より11億200万円少ない4億3500万円になった。

予土線の北宇和島~若井は、2020年度に計上した補償金工事の反動減などで営業収益・営業費用ともに減少。その結果、赤字額は2020年度より3400万円少ない9億2000万円に縮小した。

営業赤字が最も大きかったのは、土讃線・琴平~高知(28億6500万円)で2020年度に比べ6000万円の改善。これに予讃線の高松~多度津(20億9300万円)と観音寺~今治(20億9200万円)が続いた。最小は鳴門線・池谷~鳴門(1億8200万円)で、2020年度に比べ500万円悪化した。

営業係数は予土線が最大の1761。営業赤字は改善されたが「営業収益の規模が小さい」(JR四国)ため営業係数では2020年度に比べ360の悪化となった。これに牟岐線の阿南~阿波海南(1096)、予讃線の向井原~伊予大洲(626)が続いた。最小は本四備讃線(瀬戸大橋線)の児島~宇多津(125)で、2020年度に比べ82の改善。各線で共通にかかる費用を除いた場合の営業係数では、本四備讃線・児島~宇多津(61)と予讃線・多度津~観音寺(96)が100以下の黒字となった。

2021年度の各線区の営業収支と営業係数。【画像:JR四国】

輸送密度は営業赤字ではワースト2位の予讃線・高松~多度津が1万6317人で最大。2020年度に比べ663人増加した。最小の予土線は2020年度が205人だったが、2021年度は200人を割り込んで195人になった。

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