近鉄鈴鹿線「リニア三重県駅に延伸」鈴鹿市長が考え明らかに 直線で4~11km



三重県鈴鹿市の末松則子市長は3月9日の定例記者会見で、市内公共交通の今後の方向性の一つとして、近鉄鈴鹿線をリニア中央新幹線・三重県駅の候補地とされている亀山市まで延伸するよう近鉄に申し入れる考えを明らかにした。

近鉄鈴鹿線の列車。【画像:写真AC】

三重県はリニア三重県駅の候補地として、(A)関西本線の井田川駅を含むエリア、(B)東名阪自動車道の亀山ICを含むエリア、(C)紀勢本線の下庄駅を含むエリアの3案を比較検討。しかし2022年11月、同県は「それぞれ特色はあったが差異が出なかった」として一本化せず、3案をJR東海に提案することを決めている。

鈴鹿線は近鉄名古屋線の伊勢若松駅から鈴鹿市駅を経て平田町駅に至る8.2kmの路線。鈴鹿市内を東西に横断し、終点の平田町駅はリニア三重県駅の候補地のほうを向いている。平田町駅からの直線距離は、A案に含まれる井田川駅が最も短く約4.5km。C案に含まれる下庄駅までは約8.8kmで、B案に含まれる亀山ICは最も長い約11.8kmになる。

リニア三重県駅の候補地3案と近鉄鈴鹿線、延伸方向(赤)。【画像:国土地理院地図、加工:鉄道プレスネット】

鈴鹿市は2016~2023年度を計画期間とする総合計画で「移動がしやすく交流が盛んな都市空間」を目指す考えを盛り込んでいる。これに基づき同市が昨年2022年6月に策定した地域公共交通計画では、既存の鉄道や路線バス、コミュニティバス「C-BUS」によるネットワークを基本に利便性向上や路線再編に取り組むとしているが、鈴鹿線の延伸は盛り込んでいない。

鈴鹿市によると、鈴鹿線の延伸について具体的な調査や検討はこれまで行っていないという。現在の総合計画は2023年度が最終年度となることから、2024年度以降の次期総合計画などに鈴鹿線の延伸が盛り込まれるどうかが焦点になりそうだ。

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