北海道新幹線の国縫トンネル「貫通」掘削完了は5本に 工事費大幅増の可能性も



鉄道・運輸機構は10月14日、北海道新幹線の国縫トンネル(1340m、長万部町)が10月13日に貫通したと発表した。同新幹線の未開業区間(新函館北斗~札幌)に設けられる全17本のトンネルのうち貫通したトンネルは5本目になる。

国縫トンネルの位置。【画像:鉄道・運輸機構】

国縫トンネルは新八雲(仮称)~長万部に設けられるトンネルの一つで、場所は新青森駅から224.31~225.65kmの地点。2020年1月に着工し、長万部町内に設けられるトンネルでは初めて貫通した。工事期間は来年2023年4月まで。

鉄道・運輸機構が公表した今年2022年10月1日時点の工事進捗状況などによると、トンネルの掘削率は56%。これまでに八雲町内の二股トンネルとニセコ町内の昆布トンネル、宮田トンネル、ニセコトンネルの4本が貫通し掘削が完了している。

また、新函館北斗駅と渡島トンネルを結ぶ市渡高架橋で橋脚の基礎工事が始まっており、ほかに3カ所の高架橋工事が準備中。これまではトンネル工事が中心だったが、周囲が開けた区間(明かり区間)の工事も動き出している。開業は2030年度末(2031年春)の予定だ。

貫通した北海道新幹線の国縫トンネル。【画像:鉄道・運輸機構】

北海道新幹線は資材高騰やトンネル補強工事の追加発生、トンネルのルート上に巨大な岩が出現して掘削が中断するなどしており、工事費が大幅に膨張する可能性が高まっている。財務省の財政制度等審議会は今年2022年5月、北海道新幹線の工事費増大の可能性を指摘。これを受けて国土交通省は9月に有識者会議を設置し、工事費の節減などの検討を始めた。

財政制度等審議会によると、北陸新幹線・金沢~敦賀の工事費が着工時の想定より累計で1437億円増加したことを踏まえ、増加率が金沢~敦賀と同程度なら現在の計画(約1兆6700億円)より7000億円程度増加するという。

《関連記事》
北海道新幹線・渡島トンネルの上部地表面が陥没 国内最長、3月に土砂流入
北海道新幹線・羊蹄トンネルの上方で陥没 「巨大な岩」除去工事中