北海道新幹線・渡島トンネルの上部地表面が陥没 国内最長、3月に土砂流入



鉄道・運輸機構は5月11日、北海道新幹線・新函館北斗~札幌間(2031年春開業予定)で建設中のトンネルのうち、渡島トンネル台場山工区の上部地表面が陥没したと発表した。同工区では3月に土砂流入が発生している。

台場山工区の上部地表面で確認された陥没。【画像:鉄道・運輸機構】

陥没が発生したのは北海道北斗市中山地内の山林で、渡島トンネルの新函館北斗寄りの入口から約6.4kmの地点。新青森駅からは156.179kmの地点になる。鉄道・運輸機構によると5月10日15時30分頃、現地立入調査で直径約5m、深さ約4m程度の陥没を確認した。陥没の範囲は確認以降、拡大していない。トンネル坑内にも異常は見られないという。

渡島トンネルと台場山工区の位置。【画像:鉄道・運輸機構】
陥没地点の位置。【画像:鉄道・運輸機構】

鉄道・運輸機構は今後、陥没の発生原因の調査を進め、学識経験者にも助言も受けながら原因究明と復旧計画の策定、施工方法の検討を進めていくとしている。

渡島トンネルは北海道新幹線の新函館北斗~新八雲間に設けられるトンネルの一つ。全長3万2675mで、完成すれば磁気浮上式鉄道を除く陸上の鉄道トンネルとしては国内最長になる。工区は七つに分かれており、このうち台場山工区は新函館寄りから二つ目の工区で全長3500m。4月1日時点でほぼ半分の掘削が完了している。

台場山工区の掘削面(土砂流入後の4月22日)。【画像:鉄道・運輸機構】
土砂流入防止措置が施された台場山工区の掘削面(5月10日)。【画像:鉄道・運輸機構】

3月17日、トンネル坑内の掘削面付近(新青森駅から156.174km)で多量の湧水が流入。翌18日にも土砂混じりの湧水がトンネル坑内に流入した。土嚢(どのう)の設置やモルタル充塡(じゅうてん)による流入防止措置が4月19日に完了した。累計で約350立方mの土砂が流入したとみられる。土砂が流入した場所は今回陥没が確認された場所のほぼ真下になる。

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