香椎線「自動運転」実証実験、3月から全線に拡大 JR九州、新機能の追加や改良も



JR九州は2月22日、香椎線(福岡県)で実施している自動列車運転装置(ATO)の実証実験について、実施区間と対象列車を拡大すると発表した。機能の追加や改良も行う。

自動運転の実証実験が行われている香椎線。【画像:semikun/写真AC】

現在は西戸崎~香椎間で実施しているが、3月12日から西戸崎~香椎~宇美間の全線に拡大。対象列車は上り38本・下り39本の合計77本で、現在の24本(上下各12本)より53本増える。

JR九州は実証実験区間の拡大までに、ATOの機能追加・改良を行う計画。編成両数に応じて停止位置を変える機能を追加するほか、最高速度と高速域の減速度低減を行うことで、降雪や落葉による滑走を防止する走行モードを追加する。また、前方の制限速度を予測した制御を行うことで、走行時の消費電力を抑えるよう改良する。

香椎線のATO実証実験は2020年12月に開始。今年2022年1月末までにのべ8万1278kmの実証運転が行われ、のべ3万1505回停車した。JR九州はこれまでの実証実験の状況が良好と判断し、運転区間と対象列車を拡大することにしたとしている。

現在のATOは「無人運転タイプ」「運転士支援タイプ」とも、自動列車制御装置(ATC)が整備され踏切がない路線を中心に導入されている。香椎線で実証実験が行われているのは、自動列車停止装置(ATS)をベースに開発されたATO。ATC整備路線のATOに比べ低コストで導入できるなどの利点がある。JR九州によると、ATSで踏切がある路線の自動運転は香椎線が国内初という。

JR九州は香椎線の実証実験を踏まえ、運転士以外の係員が先頭部に乗務するタイプの自動運転の導入を目指す方針だ。

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