新潟県の鉄道高速化「信越・トキ鉄ミニ新幹線化」需要予測で優位に 年間60万人以上増



新潟県は県内の鉄道の高速化について、各整備案の需要予測や費用便益比(B/C)の暫定調査結果をまとめた。同県が検討している4案のうち、JR信越本線とえちごトキめき鉄道(トキ鉄)のミニ新幹線化を図る2案が需要やB/Cで優位に立った。

暫定調査結果は8月8日、有識者や新潟県、県内各市、鉄道事業者などで構成される「高速鉄道ネットワークのあり方検討委員会」で新潟県が報告した。4案の概要は次の通り。

■信越本線・トキ鉄はねうまラインミニ新幹線化:長岡~上越妙高

長岡~(信越本線)~直江津~(えちごトキめき鉄道妙高はねうまライン)~上越妙高を標準軌(1435mm)に改軌、または標準軌と狭軌(1067mm)の3線軌に改良し、ミニ新幹線化を図る案。長岡駅と上越妙高駅にアプローチ線を整備し、ミニ新幹線の列車が上越新幹線や北陸新幹線に乗り入れる。想定される費用は1023億~1738億円。

新潟~高田の所要時間は、高速化の整備を行わない場合で111分。整備後は4案のなかで最も短い77分で34分の短縮を図る。このほか、北陸新幹線の新大阪延伸が実現した場合の新潟~新大阪の所要時間は、整備しない場合(258分)に比べ47分短縮の211分としている。

妙高はねうまラインの高田駅に入線する新潟行き特急「しらゆき」。【撮影:草町義和】

■信越本線・トキ鉄ひすいラインミニ新幹線化:長岡~糸魚川

この案も改軌や3線軌化によりミニ新幹線列車の運行と上越・北陸新幹線への乗り入れを図る。整備区間は長岡~(信越本線)~直江津~(えちごトキめき鉄道日本海ひすいライン)~糸魚川に変わり、アプローチ線を整備する駅も長岡駅と糸魚川駅に変わる。費用は1191億~1971億円。

新潟~高田の所要時間は88分で乗り換えが1回発生。整備しない場合に比べ23分の短縮が図られる。北陸新幹線の新大阪延伸が実現した場合の新潟~新大阪の所要時間は、整備しない場合に比べ46分短縮の212分になる。

日本海ひすいラインの能生駅。【撮影:草町義和】

■信越本線既存線改良:長岡~上越妙高

長岡~直江津~上越妙高の線路を改良して特急列車を走らせる案。カーブの改良による通過速度の向上に加え、信越本線の塚山~越後広田と柏崎~柿崎に短絡トンネルを整備する。長岡駅にはアプローチ線を整備し、新幹線と在来線が同一ホームで乗り換えできるようにする。費用は962億~1522億円で、4案のなかでは最も低い。

新潟~高田の所要時間は79分で短縮時間は22分。乗り換えが1回発生する。北陸新幹線の新大阪延伸が実現した場合の新潟~新大阪の所要時間は4案のなかで最も長い223分で、乗り換えが2回発生。短縮時間は35分だ。

かつて信越本線を走っていた快速「くびき野」。【画像:しらせ50/写真AC】

■北越急行ミニ新幹線化・柏崎~長岡シャトル化:浦佐~上越妙高・長岡~柏崎

北越急行ほくほく線を活用してミニ新幹線を整備する案。ルートは浦佐~(上越線)~五日町~(短絡線)~魚沼丘陵~(ほくほく線)~うらがわら~(短絡線)~上越妙高になる。

かつてほくほく線を最高速度160km/hで走っていた在来線特急「はくたか」。【撮影:草町義和】

上越線とほくほく線の改軌・3線軌化を図るほか、標準軌の短絡線を新設。浦佐駅と上越妙高駅にアプローチ線を整備し、ミニ新幹線の列車が上越・北陸新幹線に乗り入れる。また、この案では柏崎が整備ルートから外れるため、長岡~柏崎のシャトル化も実施。長岡駅にアプローチ線を整備して新幹線と在来線が同一ホームで乗り換えできるようにする。費用は1326億~2251億円。4案のなかでは最も高い。

新潟~高田の所要時間は4案のなかで最も長い95分で乗り換えが1回発生。短縮時間は16分になる。一方、北陸新幹線の新大阪延伸が実現した場合の新潟~新大阪の所要時間は4案のなかで最短の208分。整備しない場合に比べ50分の短縮になる。

新潟県が検討している4案の概要。【画像:新潟県】

需要予測とB/Cの暫定調査では、2050年の開業を想定。リニア中央新幹線・品川~新大阪と北陸新幹線・敦賀~新大阪、北海道新幹線・新函館北斗~札幌が開業済みとし、高速道路も現在整備中のものは開通済みとした。

調査結果によると、年間の需要予測は高速化の整備を行わない場合で331万人。ここからの増加数が最も多いのは信越本線・トキ鉄はねうまラインミニ新幹線化(68万人増)で、これに信越本線・トキ鉄ひすいラインミニ新幹線化(67万人増)、北越急行ミニ新幹線化・柏崎~長岡シャトル化(52万人増)が続く。増加数が最も少ないのは信越本線既存線改良(18万人増)だった。

B/Cの試算も信越本線・トキ鉄はねうまラインミニ新幹線化が0.9~1.4程度で最も大きく、これに信越本線・トキ鉄ひすいラインミニ新幹線化(0.7~1.2程度)、北越急行ミニ新幹線化・柏崎~長岡シャトル化(0.5~0.8程度)が続く。最も小さいのは信越本線既存線改良(0.1~0.2程度)だった。4案とも低位予測では得られる便益が費用を下回る「1」未満だったが、高位予測では信越本線・トキ鉄のミニ新幹線化2案が「1」を超えた。

各案の需要予測とB/C。【画像:新潟県】

新潟県では東京~中下越地方を結ぶ上越新幹線と東京~上越地方を結ぶ北陸新幹線が通っているが、この二つの新幹線のはざまとなっている地域のアクセス改善が課題になっている。このため新潟県は長岡市と上越市を結ぶ鉄道の高速化を目指し、2022年に検討委を設置。これまで4案の検討を進めてきた。

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