かつて貨物線あった山下ふ頭「歴史と特性」踏まえ再開発検討へ 横浜市「IR」撤回で



山下ふ頭の入口にある踏切の名残。【撮影:草町義和】

横浜市の山中竹春市長は9月10日、山下ふ頭に誘致する計画だった、カジノを含む統合型リゾート(IR)について、誘致の撤回を表明した。

山中市長は8月の市長選でIR誘致の撤回を公約に掲げ当選。9月10日の市議会の所信表明演説で誘致の撤回を表明し、IRの推進室も10月1日に廃止するとした。横浜市は同日、IR設置運営事業者の公募を中止したと発表した。

山中市長は山下ふ頭の今後について、「歴史と特性を踏まえて再開発に向け検討する」としている。

横浜臨港線と山下埠頭線のルート(青)。山下ふ頭(赤枠)にIRを誘致する計画だった。【画像:国土地理院地形図、加工:鉄道プレス州ネット編集部】

山下ふ頭は1953年に着工。戦後、在日米軍に接収された瑞穂ふ頭の代替施設として計画され、1963年までに完成した。これに伴い横浜港に延びる国鉄の東海道本線貨物支線(横浜臨港線)を山下ふ頭まで延伸することが計画され、1965年に横浜港~山下埠頭間(山下埠頭線)が開業した。

山下埠頭線の高架橋。現在は遊歩道として再利用されている。【撮影:草町義和】

貨物輸送が鉄道からトラックにシフトしたことなどに伴い、横浜臨港線と山下埠頭線は1987年の国鉄分割民営化までに廃止された。横浜臨港線の築堤や橋りょうは遊歩道「汽車道」として整備され、山下埠頭線の高架橋も一部が遊歩道として再利用されている。このほか、山下ふ頭の入口付近にも踏切の名残がある。

《関連記事》
「横浜ノース・ドック」米軍専用線が返還 瑞穂ふ頭のもと国鉄貨物支線
東急東横線の「廃線跡」でフリーマーケット 反町駅付近で開催