熊本空港アクセス鉄道「ルート検討」熊本県が調査費計上、3ルートを再び調査へ



熊本県は12月9日、本年度2021年度11月補正予算の追加提案の概要を発表した。「阿蘇くまもと空港アクセス整備調査検討事業」の調査費として3700万円を計上。台湾半導体メーカーの進出による情勢の変化を受け、整備ルートを改めて調査する。

豊肥本線の肥後大津駅。同駅と熊本空港を結ぶシャトルバスが運行されており、正式な駅名とは別に「阿蘇くまもと空港駅」という愛称が付けられている。【撮影:鉄道プレスネット】

熊本県はこれまで、豊肥本線の三里木・原水・肥後大津の各駅から分岐して熊本空港に向かう3ルート案を比較検討。2018年度の調査では、三里木駅から県民総合運動公園を経由して熊本空港に向かう案が最も利用者が多く、費用対効果も高いとされた。このため熊本県は三里木ルートを軸に検討を深度化させた。

しかし、2020年度の調査では利用者数の見込みが2019年度の調査より2500人少ない5000人に。黒字転換時期も2019年度の調査では開業後2年だったのに対し、30年以上遅い33年とされたことから、さらなる需要の創出が課題になっていた。

今年2021年11月には、世界大手の半導体メーカー「台湾積体電路製造(TSMC)」がセミコンテクノパーク(菊陽町)の隣接地に工場を建設することが決定。来年2022年に着工する予定で、2024年末までの生産開始を目指す。これにより約1500人の雇用創出が期待されるという。

熊本空港アクセス鉄道の三里木ルート(薄赤)。原水ルートと肥後大津ルートも含め改めて検討する。【画像:国土地理院地図、加工:鉄道プレスネット】

こうした情勢の変化を受け、熊本県は改めて熊本空港アクセス鉄道のルートを検討することに。三里木ルートのほか、TSMCの新工場に最も近い原水駅からの分岐ルート、空港シャトルバスと連絡している肥後大津駅からの分岐ルートを加え、再び比較検討することにした。

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