嵯峨野観光線(京都府)を運営する嵯峨野観光鉄道は1月19日、旅客運賃上限変更認可を申請した。改定率は39.6%。現在の普通旅客運賃(大人)は630円だが、250円値上げして880円にする。
嵯峨野観光線はトロッコ嵯峨~トロッコ亀岡間の7.3kmを結ぶ鉄道路線。保津峡沿いの山陰本線の旧線(1989年に使用終了)を活用したトロッコ列車が1991年から運転されている。申請が認可された場合、4月1日に上限運賃の変更を実施する。
嵯峨野観光鉄道によると、2017年度は128万人が利用したが、2019年度末以降の新型コロナウイルスの影響を受け、利用者の7割強を占めていたインバウンド客が消失。2020年度の利用者数はピークの約36%となる46万人まで落ち込んだ。
その一方、渓谷を走る路線の特性に対応するための安全対策として老朽化した線路設備の維持や、サービス向上策として旅行会社への商品造成依頼と情報発信、SNSの活用、ビューポイントでの減速運転などのおもてなし、クラウドファンディングを活用したライトアップ列車の運行などの施策を進めるとともに、利用者の少ない列車の運休などのコスト削減を図ってきた。
新型コロナウイルスの感染状況の改善によるインバウンド需要の回復も見込まれるとしつつ、サービス向上を継続して実施していくためには「現行の運賃では、抜本的な収支状況の改善を図ることが困難な状況」とし、運賃を値上げすることにしたという。
嵯峨野観光鉄道は今後の取組として、枕木のプレストレストコンクリート(PC)化や落石防止対策の実施、予約販売システムの改善、多言語による案内システムの構築などを行うとしている。
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