京都地下鉄東西線「洛西延伸」西京区の基本計画から削除 「新たな環状交通」検討



京都市営地下鉄東西線の太秦天神川駅。【撮影:草町義和】

京都市の西京区は新しい基本計画を策定した。従来の基本計画に盛り込んでいた京都市営地下鉄東西線の洛西ニュータウン方面への延伸は盛り込まなかった。

西京区の基本計画は「京都市基本構想(グランドビジョン)」(2001~2025年)に基づく中長期的な計画。これまでに第1期(2001~2010年)と第2期(2011~2020年)が策定されている。

第1期基本計画は東西線の延伸について「早期完成に努めます」としていた。第2期基本計画では、洛西ニュータウンなどがある西部地域に鉄道が通っていないことから「区民の利便性の向上や交通渋滞の緩和に大きく寄与し、また区内の学術研究機関への移動のための重要な交通手段となるなど、京都市西部地域の交通体系の核」として東西線の延伸を盛り込んだが、「(延伸を)切に願っています」と弱い表現に変わった。

今年2021年8月に策定された第3期基本計画では、東西線の延伸に関する項目自体がなくなった。

その一方、「新たな交通システムの構築や交通事業者と連携した利便性向上策の検討」「既存の交通ネットワークを縦横断的に結ぶ新たな環状ネットワークの検討」を明記。既設路線の活用や地下鉄以外の交通システムの導入なども視野に入れ、検討を進めるとみられる。京都市の門川大作市長は昨年2020年2月の市長選で、東西線から洛西ニュータウン、長岡京市を新交通システムや地下鉄で結ぶ環状線構想を公約に掲げていた。

西京区の第3期基本計画によると、同区の人口は14万9864人(2020年国勢調査速報値)。少子高齢化の影響を受け2010年に比べ約2%減少した。とくに洛西ニュータウンでは約14%減と減少率が高くなっており、この10年で3550人減ったという。

京都とその周辺の鉄道路線。近畿圏地方交通審議会答申第8号では東西線の延伸(1)や烏丸線の延伸(2)が盛り込まれていた。【画像:国土交通省】

東西線は六地蔵~太秦天神川間17.5kmを結ぶ地下鉄。太秦天神川以西への延伸が構想されており、1989年の運輸政策審議会答申第10号では現在の西大路御池駅から洛西を目標年次(2005年)までに整備に着手すべき区間、洛西~長岡間を検討区間とし、京都市の郊外エリアを環状するルートが考えられていた。

1997年から2008年にかけ六地蔵~太秦天神川間が開業したが、太秦天神川以西は開業区間の経営難や膨大な建設費などの問題を抱え、検討は進まなかった。2004年に策定された近畿圏地方交通審議会答申第8号では太秦天神川~洛西間が「中長期的に望まれる鉄道ネットワークを構成する新たな路線」として盛り込まれたが具体的な整備目標時期は示されず、洛西~長岡間は盛り込まれなかった。

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