三菱重工業は2月29日、マカオの軌道系公共交通「マカオLRT」の東線プロジェクトについて、案内軌条式鉄道の全自動無人運転車両(AGT)のシステム一式を中国マカオ特別行政区の政府・公共建設局(DSOP)から受注したと発表した。三菱重工が受注したマカオLRTのプロジェクトは、これで5路線目。
三菱重工が今回受注したのは、信号や通信システム、給電設備、軌道工事、ホームドア、料金機械といった駅舎の建設や土木工事を除くAGTシステム一式。旅客車両はタイパ線とその延伸線に納入済みの車両を活用する。これに加え、リチウムイオン式蓄電機器を搭載した消防士緊急出動用車両(BAV)も納入する予定だ。
三菱重工によると、従来のディーゼル型に代えて電動BAVを導入することにより、地下トンネル区間が大半を占める東線の安全性確保と環境負荷軽減に貢献するという。
マカオLRTはマカオ内に計画されたAGTタイプの軽量軌道交通(LRT)。2019年に最初の路線としてタイパ島部のタイパ線9.3kmが開業し、昨年2023年12月にはマカオ西側でタイパ島部とマカオ半島部を結ぶタイパ線の延伸線3.2kmが開業した。
東線はマカオ東側を縦断する路線で、タイパ線のタイパ・フェリーターミナル駅から半島部に入り、東側沖合に広がる埋立地の新興開発エリアを経由。中国との境界口になる洪北付近を結ぶ。全長は7.65kmで6駅が新設される計画。2023年10月に着工し、2028年の完成を予定している。
三菱重工は既開業のタイパ線とその延伸線に加え、2024年にも開業する予定の横琴線2.2kmと石排湾線1.6kmでもAGTシステム一式を受注済み。東線は5路線目の受注になる。
三菱重工は東線の開通で、中国との往来を含めた利用者のさらなる増加や、住宅・商業施設が建設される新興エリアの交通利便性の向上、交通渋滞の緩和などが見込まれるとしている。
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