エイトライナー・メトロセブン「高架系」検討 新交通とモノレール、促進協が調査



エイトライナー促進協議会と環七高速鉄道(メトロセブン)促進協議会は9月2日、「令和3年度 区部周辺部環状公共交通に係る調査」の公募型プロポーザルを公告した。エイトライナー・メトロセブンの調査の委託先を決める。

高架橋の軌道を走るAGTのイメージ(写真は韓国のウィジョンブ軽電鉄)。【画像:草町義和】

この調査では、過去の検討を踏まえて「高額な事業費を要する地下鉄系システムと中量軌道系システムとの相違」に着目して検討を実施。中量軌道系システムの導入に関する整備計画の概要を取りまとめ、概算事業費の算出を行う。

検討対象とする中量軌道系システムは「高架系システム(AGT・モノレール)」。AGTはゴムタイヤで主に高架の専用軌道を走る新交通システムだ。「地下鉄系」や「地上系」の各システムとの比較整理を行い、導入可能性を検討するための基礎資料を制作する。

予定金額は1000万円。参加申請は9月13日まで、提案書提出は10月5日まで。10月に契約し、履行期間は来年2022年3月25日までになる。

エイトライナー・メトロセブンの整備構想ルート。【画像:国土地理院地図、加工:鉄道プレスネット編集部】

エイトライナー・メトロセブンは、葛西臨海公園から都道318号環状七号線(環七)と都道311号環状八号線(環八)に沿って羽田空港方面に整備する構想の鉄道新線。東京都心からおおむね10km程度離れた場所を環状するルートだ。

現在は既設の東急多摩川線・京急空港線と構想段階の新空港線(蒲蒲線)で代替できる部分を除く、葛西臨海公園~赤羽~田園調布間の約60kmの整備が考えられている。

国土交通大臣の諮問機関・交通政策審議会が2016年4月に答申した「東京圏の今後の都市鉄道のあり方について」(198号答申)では、「区部周辺部環状公共交通の新設」として葛西臨海公園~赤羽~田園調布間が盛り込まれた。

198号答申は整備の意義として「環状七・八号線沿線地域間相互の環状方向のアクセス利便性の向上」を挙げたが、一方で「事業性に課題があるため、関係地方公共団体において、事業計画について十分な検討が行われることを期待」するとし、事実上、整備の優先順位が低い路線と位置付けた。

また、この答申では「高額な事業費」が課題になるとし、「中量軌道等の導入や整備効果の高い区間の優先整備など整備方策について、検討が行われることを期待」するとしていた。

モノレールのイメージ(写真はかつて姫路市内で運行されていたモノレール)。【撮影:草町義和】

従来の調査では、標準タイプの地下鉄で事業費が1兆円を超え、トンネルや車両を小さくした地下鉄「スマート・リニアメトロ」でも9000億円以上かかると試算されている。

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