伊予鉄道は5月31日、国土交通省の四国運輸局長に鉄道事業・軌道事業の旅客運賃上限変更認可を申請した。認可された場合、10月1日に運賃を改定して値上げする予定。一方で新たに「キャッシュレス決済運賃」を導入し、利用方法によっては値上げ幅を抑える。
改定率は上限運賃ベースで鉄道(郊外電車)が4.0%、軌道(市内電車)が8.4%。上限の範囲内で旅客から実際に徴収する運賃(実施運賃)ベースでは郊外電車が3.6%、市内電車が7.5%になる。
普通旅客運賃の上限は、郊外電車が初乗り(0.0~3.0km)で230円。11.1~13.0kmは550円、21.1~23.0kmは820円、23.1~25.0kmは870円になる。実施運賃も申請した上限と同額だが、21.1~25.0kmの区間は上限より安い790円に設定される予定だ。
実施運賃ベースで比較した場合、すべての距離帯で30円の値上げに。初乗りは200円から230円、11.1~13.0kmは520円から550円、21.1~25.0kmは760円から790円に引き上げられる。均一制運賃の市内電車は普通旅客運賃の上限が現行200円のところ30円値上げの230円で、実施運賃も上限と同額になる。
一方、従来の現金決済運賃とは別にキャッシュレス決済運賃を設定。全国交通系ICカード(モバイル含む)・みきゃんアプリ・い~カードなどで利用する場合、現金決済より20円割引になり、実質的な値上げ幅は10円に抑えられる。郊外電車の初乗りと市内電車なら現行200円のところ210円だ。また、精神障害者割引を来年2025年4月1日から導入する。
定期旅客運賃(実施運賃ベース)は郊外電車・通勤定期・1カ月の場合、0.0~3.0kmで現行6280円のところ230円値上げの6510円に。11.1~13.0kmは390円値上げの2万990円、21.1~25.0kmは390円値上げの3万1680円になる。
伊予鉄道は2021年12月、消費税率の引き上げによるものを除いて27年ぶりに運賃を値上げ。昨年2023年10月にも値上げしており、2年連続の値上げになる。同社は今回の運賃改定の申請について「物価高および人材確保・処遇改善に係る経費等の増加に対応し、持続可能な公共交通と輸送の安全を確保するため」としている。
このほか、伊予鉄バスも今年2024年5月31日に路線バスの運賃改定を申請した。10月1日に値上げする予定。実施運賃ベースの場合、普通旅客運賃は初乗りが30円値上げの250円、それ以外の区間も30円値上げされる。キャッシュレス決済運賃も伊予鉄道と同様に導入し、現金決済より20円の割引になる。
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