JR東日本「羽田空港アクセス線」新線区間の鉄道事業許可を取得 2029年度開業目指す



国土交通大臣は1月20日、JR東日本が昨年2020年8月に申請していた羽田空港アクセス線(仮称)の新線建設区間の鉄道事業を許可した。2029年度の開業を目指す。

羽田空港アクセス線の東山手ルート。新線建設区間の東京貨物ターミナル~羽田空港新駅間(赤点線)の鉄道事業許可を取得した。【画像:JR東日本】

整備区間は東京貨物ターミナル駅から羽田空港新駅(仮称)までの約5.0km。JR東日本が線路を建設、保有して旅客列車を運転する第1種鉄道事業になる。ルートは東京貨物ターミナル駅から南西へ一直線に進み、羽田空港の第1ターミナルと第2ターミナルのあいだに羽田空港新駅を設ける。中間に駅を設ける計画はない。

国土交通省の発表によると、事業費(車両費を除く)は3000億円。運転計画(片道)は1日72本で、1時間あたりでは4本としている。JR東日本の発表では、田町駅付近~東京貨物ターミナル間の既設線改良区間を含む建設費を約3000億円としている。

国土交通省の鉄道局鉄道政策課によると、動力は電気(直流1500V)、軌間は1067mm。工事施行認可の申請期限は鉄道事業許可から1年以内の2022年1月19日まで。

羽田空港アクセス線は、東京都心部と羽田空港を結ぶJR東日本の新線計画。宇都宮線・高崎線・常磐線方面から東京駅、田町駅付近を経て羽田空港を結ぶ「東山手ルート」、埼京線方面から新宿駅を経て空港に向かう「西山手ルート」、りんかい線方面から新木場駅を経て空港に至る「臨海部ルート」の三つで構成される。

3ルートとも東京貨物ターミナル駅までは貨物線など既設線路の改良を基本に整備し、東京貨物ターミナル~羽田空港間は新線を建設する。JR東日本は東山手ルートの先行整備に向けて環境影響評価の手続きなどを進めているほか、昨年2020年8月21日に新線建設区間の鉄道事業許可を申請した。

東山手ルートのうち既設線の改良区間となる東京貨物ターミナル以北の区間は、浜松町~東京貨物ターミナル間を結ぶ東海道本線貨物支線(大汐線)の大半を活用して改良。田町駅付近に、東海道線の旅客列車が走る線路と大汐線をつなぐ短絡線(大汐短絡線)を整備する。

大汐線は1987年の国鉄分割民営化にあわせてJR東日本が旅客運送の第1種鉄道事業免許を取得したが、定期運転の旅客列車が走ったことはない。都営大江戸線の工事に伴い1998年1月30日から営業休止扱いとなったが、都営大江戸線の開業後も営業休止が続いている。