東武竹ノ塚駅「高架化」工事のいま 急行線もうすぐ完成、残る緩行線はいつ?

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踏切での死傷事故を機に動き出した、東武鉄道伊勢崎線(東武スカイツリーライン)竹ノ塚駅(東京都足立区)付近の高架化。着工から8年近くが経過したが、高架化はまだ完了していない。とはいえ、急行線の高架化が9月中には完了する予定で、残るは緩行線の高架化のみとなる。同駅周辺を歩いてみた。

高架化工事が進む竹ノ塚駅付近。下り急行線が高架化済みで、次は上り急行線(手前)が高架化される。【撮影:鉄道プレスネット編集部】

■架線や信号機も設置済み

北千住駅で東武動物公園行きの下り普通列車に乗車。東武スカイツリーラインは竹ノ塚駅を含む北千住~北越谷間が複々線で、普通列車は4本の線路のうち内側2線の緩行線を走る。外側2線は特急や急行が走る急行線だ。

西新井駅を発車して下り緩行線をしばらく走っていると、列車の右側(西側)にある下り急行線が上り勾配になって高架橋に変わる。下り急行線の高架化工事は4年前の2016年に完成。同年5月に切り替えられた。次に高架化されるのは上り急行線で、その後、緩行線を高架化することになる。

下り緩行線を走る普通列車の先頭部からの景色。下り急行線(左)が上り勾配で高架橋に移っていくのが見える。【撮影:鉄道プレスネット編集部】
緩行線は下り急行線の高架下に入って竹ノ塚駅に向かう。【撮影:鉄道プレスネット編集部】

列車は下り急行線の高架橋の下に入り込み、竹ノ塚駅の緩行線ホームに停車した。このホームは高架化が完了するまでの仮設ホームで、この上を下り急行線の高架橋が通っているが、同駅には特急や急行が停車しないため、急行線にはホームが設けられていない。東側を見てみると高架橋が2本並んでいて、そのあいだに仮設の上り急行線があった。

竹ノ塚駅の緩行線ホーム。下り急行線の下に仮設されている。【撮影:鉄道プレスネット編集部】

二つの高架橋のうち手前が緩行線の高架橋だが、工事は始まったばかりのようで、一部は橋脚や橋桁が半分ほどしかできあがっていない。一方、奥に見える上り急行線の高架橋は橋脚や橋桁が完成しているだけでなく、架線や信号機などの電気・保安設備の姿も見える。上り急行線の切替が近いことを示していた。

仮設ホームの東側に緩行線の高架橋、仮設の上り急行線、高架橋の上り急行線が見える。【撮影:鉄道プレスネット編集部】
上り急行線の高架橋には架線と信号機が設置済み。【撮影:鉄道プレスネット編集部】

■旧駅舎のくい残る展示ブース

ホームには地下に通じる階段がある。ここを下っていくと自動改札機が現れた。竹ノ塚駅は線路・ホームの上に橋上駅舎を設けていたが、高架橋の建設場所と同じ高さにある駅舎が支障することから、地下に仮設の通路を設け、そこに改札口などの駅施設を整備。橋上駅舎を撤去した。

高架化工事のため橋上駅舎は解体。現在は仮設の地下通路に改札口を設けている。【撮影:鉄道プレスネット編集部】

改札口の脇には、竹ノ塚駅付近の高架化工事を説明するためのPRブースがある。簡単なパネル展示くらいしかないだろうと思っていたら、なんと橋上駅舎を支えていた柱のくいがガラス張りのケースに収められ、そのまま残されていた。仮設地下通路の整備で、通常は地下に埋まっているくいを見ることができるようになったのだ。既存の構造物を撤去したり避けたりしながら進めなければならない、高架化工事の難しさを痛感させられる。

改札口の脇にある連立事業のPRコーナー。【撮影:鉄道プレスネット編集部】
PRコーナーには橋上駅舎を支えていたくいが残る。【撮影:鉄道プレスネット編集部】
竹ノ塚駅の東口側。完成した上り急行線の高架橋が見える。【撮影:鉄道プレスネット編集部】

駅の南側にある踏切に行くと、目の前では上下の緩行線と上り急行線を走る列車がひっきりなしに現れ、頭上でも下り急行線を走る列車の姿が見える。多数の警備員がいて、列車の通過時刻が迫るたび、「はい、もうすぐ列車が来ます。渡らないで下さい」などと周囲に呼びかけていた。

竹ノ塚駅の南側にある踏切。特急スペーシアが走っている上り急行線がまもなく高架橋(右)に移る。【撮影:鉄道プレスネット編集部】

■踏切事故を機に急速浮上

竹ノ塚駅付近の高架化は、線路を高架化することで踏切を解消し、渋滞の緩和など道路交通の改善を図る都市計画事業(連続立体交差事業=連立事業)として実施されている。事業区間は約1.7kmで、総事業費は着工時点で約544億円。道路交通の改善が目的であることから、事業費のうち456億円(84%)は国と東京都、足立区が負担し、残りの約88億円(16%)は東武鉄道が負担することになっていた。

竹ノ塚駅付近の連立事業の平面図(上)と断面図(下)。【画像:足立区・東武鉄道】

東武スカイツリーラインは1974年、北千住~竹ノ塚間が複々線化。これは関東の私鉄では初の複々線区間だった。その後、複々線区間は2001年までに北越谷駅まで延伸されている。ただ、竹ノ塚駅の前後は高架化しないまま複々線化され、踏切が残った。

複々線化で列車の本数が増えたことにより踏切の遮断時間が長くなり、いわゆる「開かずの踏切」に。1980年には高架化の請願が採択されたものの、それから20年以上は何も動きがなく、2004年にようやく高架化の検討対象区間に選ばれた。

しかし翌2005年3月、竹ノ塚駅南側の踏切で歩行者が2人死亡、2人が負傷するという事故が発生。この踏切は当時、東武鉄道の係員が操作する手動式で、係員の操作ミスが直接の原因だった。これを機に、「開かずの踏切」の早期解消を求める世論が高まり、連立事業の採択基準の緩和など制度の改善が図られ、竹ノ塚駅付近の連立事業が具体化に向けて急速に動き出した。

踏切では多数の警備員が注意を促していた。【撮影:鉄道プレスネット編集部】

2007年には着工準備が採択され、2011年3月に都市計画が決定。同年12月の事業認可を経て2012年11月に起工式が執り行われ、工事が始まった。事故発生から着工まで7年かかっているが、これでも従来の連立事業と比べれば、かなり早い動きだった。起工式から4年後の2016年には、下り急行線が高架化されている。

下り急行線の次は上り急行線の高架橋工事が本格化したが、高架化は当初計画より1年半遅れの今年2020年9月に変更され、総事業費も636億円に膨れあがった。足立区によると2018年1月、高架橋の工事で使用した鉄板約2000枚が、のべ約800mに渡り線路内に埋まっていることが判明。今年2020年2月までに撤去したが、この影響で工事も遅れてしまったという。とはいえ、連立事業は用地買収の難航で当初計画より10年以上遅れるケースが多いことを考えると、遅れ幅も小さいほうといえる。

今後は上り急行線の高架化後、仮設の上り急行線を撤去。それにより空いた敷地に緩行線の高架橋が建設される。緩行線も含めた全面的な高架化は、当初計画より1年遅れとなる2022年3月の予定。これにより駅の前後にある2カ所の踏切が解消される。その後、引上線の整備や仮設ホームの撤去などが進められる計画だ。

高架化工事の今後の手順(竹ノ塚駅)。上り急行線の高架化後、空いた敷地に緩行線の高架橋を整備する。【画像:足立区・東武鉄道】
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