福井の並行在来線経営分離「みなし許可」 北陸新幹線の開業遅れで異例の手続き



国土交通大臣は1月19日、福井県並行在来線準備(準備会社、7月頃に開業時の正式な社名に変更予定)などが申請していた鉄道事業再構築実施計画を認定した。これにより準備会社は、北陸新幹線の敦賀延伸開業にあわせて経営分離される並行在来線の第1種鉄道事業許可を受けたとみなされた。

北陸本線の経営分離区間。福井県並行在来線準備による営業区間(青)は敦賀~大聖寺間になる。【画像:国土地理院地図、加工:鉄道プレスネット編集部】

準備会社が経営を引き継ぐのは、JR西日本から経営分離される北陸本線・金沢~敦賀間のうち福井県内の区間。昨年2021年12月27日、準備会社と福井県、沿線7市町が地域公共交通の活性化及び再生に関する法律(活性化法)に基づき、鉄道事業再構築実施計画の認定を申請していた。計画期間は2022年4月1日~2035年3月31日の約13年間。

これにより、北陸本線・福井県内区間(敦賀以北)の第1種鉄道事業者(旅客運送)は北陸新幹線・金沢~敦賀間が延伸開業する2024年春、JR西日本から準備会社に変わる。変更に際し、運営に必要な鉄道施設・鉄道用地・車両はJR西日本から準備会社に対し、開業時に有償譲渡される。

北陸新幹線は2023年春には金沢~敦賀間が延伸開業し、同時に並行在来線の経営分離も行われる予定だった。しかし、加賀トンネルの盤ぶくれ対策のための追加工事や敦賀駅の工事遅延で、開業予定時期が1年遅れの2024年春に変更。それに伴い並行在来線の経営分離も1年遅れることになった。

この影響で準備会社は経営分離までの経費が増加するため、影響軽減措置として鉄道・運輸機構からの出資による支援を受けることになった。今年2022年中には鉄道・運輸機構が準備会社に出資する予定だ。

国土交通省の鉄道局によると、鉄道・運輸機構からの出資を準備会社が受ける条件として、鉄道事業再構築実施計画の認定を受ける必要があった。活性化法では鉄道事業再構築実施計画の認定を受けた場合、鉄道事業許可を受けたとみなされる特例が定められているため、結果的に鉄道事業法による許可手続きが不要になったという。

整備新幹線の整備に伴う並行在来線の経営分離は従来、鉄道事業法に基づく鉄道事業許可の手続きが行われていた。活性化法に基づく「みなし許可」の手続きが行われたのは、これが初めてだ。

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