20020形は富山地鉄が導入した新形式の電車。西武鉄道から「ニューレッドアロー(NRA)」こと特急型車両10000系を譲り受けて改造した。今年2022年2月19日から営業運用に入っている。
西武鉄道から譲り受けたのは制御車2両(クハ10106・クハ10102)と電動車2両(モハ10206・モハ10606)の合計4両。改造により上市寄りから制御電動車(モハ20021形)・電動車(モハ20022形)・制御車(クハ220形)の3両編成を組成した。譲受した制御車2両のうち1両を制御電動車化している。残る電動車1両は部品取り用で、補助電源装置や電動空気圧縮機などの床下機器を取り外して運用車両に移設した。
保安装置として自動列車停止装置のほか運転士異常時列車停止装置や運転状況記録装置を搭載。また、ICカードシステムの車載装置の搭載や、放送・行先表示の多言語化なども行っている。
富山地鉄では以前にも西武鉄道から初代「レッドアロー」の特急型5000系を譲り受けて16010形に改造(走行装置などは国鉄485系や営団地下鉄3000系の廃車部品を流用)し、現在も運用している。同社は新旧「レッドアロー」を運行させることで「鉄道の話題性と魅力を広く提供する」としている。
手続き
2021年12月23日|富山地鉄:車両確認申請
旧:西武鉄道クハ10100形→新:富山地鉄モハ20021形
旧:西武鉄道モハ10200形→新:富山地鉄モハ20022形
旧:西武鉄道クハ10100形→新:富山地鉄クハ220形
2022年1月13日|北陸信越運輸局長:車両確認
主要諸元
※2021年12月23日時点
●共通事項
使用区間|
・本線 電鉄富山~宇奈月温泉
・立山線 寺田~立山
・不二越線 稲荷町~南富山
・上滝線 南富山~岩峅寺
車種|普通鉄道旅客車 直流電車
旅客定員一人当たりの客室床面積|座席430mm、立席0.3平方m
最大寸法|20000×2927×4055
連結器の種類|小型自動密着連結器
●モハ20021形
車種|制御電動車(DC:1500V)
記号番号|モハ20021形(モハ20021号)
略号|Mc1
空車重量|39.5t
旅客定員|101人(座席46人、立席55人)
動力発生装置|
・種類|直流直巻電動機
・端子電圧|375V
・連続定格出力|150kw
・個数|4個
台車|
・種類|ダイレクトマウント式ボギー台車 空気ばね方式
・形式|FS-542B
駆動方式|
・種類|中空軸平行カルダンタワミ板継手式
・歯車比|5.73:1
制御装置|電動カム軸式抵抗制御
ブレーキ装置|
・種類|発電ブレーキ併用電磁直通ブレーキ 抑速ブレーキ付
・ブレーキ率(常用)|空車106.8%、積車103.9%
・ブレーキ率(保安)|空車83.0%
・空気圧縮機|容量2100l/min×1個
・調圧器及び安全弁の調圧力|入込圧力600kPa、切放圧力750kPa、安全弁動作圧力850kPa
発電機|
・種類|静止インバータ
・電圧|三相 60Hz 440V
・出力|150kVA
運転保安設備|列車無線・ATS-SW(高周波点制御変周式2変周)
●モハ20022形
車種|電動車(DC:1500V)
記号番号|モハ20022形(モハ20022号)
略号|M2
空車重量|40.0t
旅客定員|106人(座席64人、立席42人)
動力発生装置|
・主電動機の種類|直流直巻電動機
・連続定格出力|150kw
・個数|4個
台車|
・種類|ダイレクトマウント式ボギー台車 空気ばね方式
・形式|FS-542B形
駆動方式|
・種類|中空軸平行カルダンタワミ板継手式
・歯車比|5.73:1
制御装置|電動カム軸式抵抗制御
ブレーキ装置
・種類|発電ブレーキ併用電磁直通ブレーキ 抑速ブレーキ付
・ブレーキ率(常用)|空車105.5%、積車102.3%
・ブレーキ率(保安)|空車82.0%
●クハ220形
車種|制御車
記号番号|クハ220形(クハ221号)
略号|Tc1
空車重量|35.0t
旅客定員|92人(座席38人、立席54人)
台車|
・種類|ダイレクトマウント式ボギー台車 空気ばね方式
・形式|FS042形
ブレーキ装置|
・種類|発電ブレーキ併用電磁直通ブレーキ 抑速ブレーキ付
・ブレーキ率(常用)|空車97.3%、積車94.3%
・ブレーキ率(保安)|空車75.7%
運転保安設備|列車無線・ATS-SW(高周波点制御変周式2変周)
蓄電池|
・電圧:DC100V
・容量:60Ah
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