石破茂総理大臣は8月29日にインドのナレンドラ・モディ首相と会談し、日印首脳共同声明などを発表した。鉄道関係では、インドのムンバイ~アーメダバードで建設中の高速鉄道(MAHSR)にJR東日本が開発を進めるE10系電車を導入することなどが盛り込まれた。

共同声明によると、MAHSRの整備計画を「日印の旗艦事業」と位置付け、早期の運行開始に向けて取り組む。インド側は「日本式信号によって走行するE10系新幹線を2030年代初頭に導入するという日本側の提案」に謝意を表明。このため、石破首相とモディ首相は「日本式信号を始めとする信号の早期の敷設並びに総合検測車及びE5系車両1編成の導入のために必要な作業」をただちに行うことで一致したという。

MAHSRはマハラシュトラ州の州都ムンバイとグジャラート州の最大都市アーメダバードを結ぶ全長約508km、最高速度320km/hの高速鉄道。2017年に着工し、用地取得は昨年2024年時点で完了している。事業主体のインド高速鉄道公社(NHSRCL)が今年2025年8月27日に発表したところによると、高架橋の建設は317kmで進んでおり、17本の橋梁が完成。グジャラート州では198kmで軌道敷設工事が進行中という。



車両についてはこれまで、JR東日本の東北新幹線で運用されているE5系電車をベースに開発する車両の導入が考えられていた。しかし2025年1月、インドのメディア『ヒンドゥスタン・タイムズ』はE5系の後継車両となる「E10系」がムンバイ~アーメダバード高速鉄道に導入されると報道。3月4日にはJR東日本も東北新幹線の次期車両としてE10系を開発すると正式に発表した。

また、日本の英字新聞『ジャパンタイムズ』は3月24日、JR東日本のE5系とE3系電車の各1編成に検査機器を取り付け、検査車両としてインドに無償提供されると報道。来年2026年初頭には納入されるとしている。
JR東日本は東北新幹線向けのE10系について、2027年秋以降の完成と2030年度内の営業運転開始を目指すとしている。一方でMAHSRは2027年に一部開業することが見込まれており、共同声明で2030年代初頭とされたE10系の導入は開業には間に合わない。このため開業当初はインド製の車両で営業運行を行うとともに、検査車両の試験走行を実施することでE10系の導入に向けた準備が進められるとみられる。
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