羽田空港アクセス線「西山手ルート」都が具体化に向け検討開始 「東山手」の進展次第



JR東日本の羽田空港アクセス線(仮称)について、東京都の小池百合子知事は2月26日、「西山手ルート」の具体化に向け事業スキームなどを検討することを明らかにした。

埼京線などが乗り入れている大崎駅。【撮影:草町義和】

西山手ルートは、山手線や埼京線、湘南新宿ラインが乗り入れる大崎駅から羽田空港に向かうルート。大崎~大井町は埼京線と相互直通運行している東京臨海高速鉄道りんかい線を活用し、大井町~東京貨物ターミナル駅付近に短絡線を新たに整備する。東京貨物ターミナル駅付近からは、羽田空港アクセス線を構成する各ルートのうち地下新線の区間「アクセス新線」を経由して羽田空港に乗り入れる。

小池知事は西山手ルートについて「中央線や埼京線等々接続することで、多摩方面も含め広範囲にわたる空港アクセス利便性の向上が期待される」と評価。そのうえで「政府提案要求や国の検討会などの場において、都市鉄道の整備に必要な財源確保を含む整備促進策を要請している。国からは新たな利用者負担制度の方向性などが示されたところ」と述べた。

また、「これまでのJR東日本との連携に加え、本年度からは国の助言や協力を得ながら事業スキーム等の具体化に必要な検討を実施していく」と述べ、事業スキームの検討を進めることを明らかに。そのうえで「東山手ルートの実施状況を勘案しながら国やJR東日本等との協議・調整を積極的に進めるなど、空港アクセス利便性の向上に取り組んでいく」と話し、西山手ルートの事業化は東山手ルートの進展次第になる可能性も示唆した。

羽田空港アクセス線を構成する各ルート(オレンジ色=東山手ルート、水色=臨海部ルート、緑色=西山手ルート、赤=アクセス新線、薄赤=構想)。【画像:OpenRailwayMap/OpenStreetMap、加工:鉄道プレスネット】

羽田空港アクセス線はアクセス新線に加え、休止中の貨物線を活用する田町駅付近~東京貨物ターミナル駅付近の「東山手ルート」が2031年度の開業を目指して工事中。りんかい線の車両基地回送線を活用した東京テレポート~東京貨物ターミナル駅付近の「臨海部ルート」も、JR東日本は東山手ルート・アクセス新線と同時に開業することを目指している。その一方、JR東日本は西山手ルートについて事業化の時期や開業目標時期を具体的には示していない。

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